進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2015.10.23

認知症ケア 動物が一役 中部学院大短大部 住民向けにセラピー講座

 動物との触れ合いを通じて認知症の高齢者らに心の安らぎを与える「アニマルセラピー」を地域住民に学んでもらい、介護福祉施設でのボランティア活動などに生かそうとする取り組みが、中部学院大短期大学部(関市桐ケ丘)で始まった。住民と施設の関係を密接にすることで継続的な活動を目指している。(織田龍穂)

 旗を振るのは同短大部社会福祉学科の横山さつき教授(50)。「入所する高齢者にとって、レクリエーション活動などで生きがいや活気を生むアクティビティケアは重要」と強調する一方、国内の現状を「衣食住や医療のケアに比べて人手も足りず不十分」と指摘する。

 そこで、地域住民に気軽に協力してもらえる体制をつくろうと、大学の特別研究費の助成を受けて開催する市民向けの講座でアニマルセラピー体験講座を初開講した。10月に全3回の日程で犬の飼い主6人がノウハウを学んだ。特別な訓練は必要とせず、むやみにかんだりほえたりしない動物ならば気軽に取り組めるのがアニマルセラピーの特徴。高齢者に動物をなでてもらったり、おやつをあげてもらったりすることで心に癒やしを感じてもらうことができる。

 15日の講座では同市戸田のドッグインストラクター山本研志さん(42)が指導。「芸でも散歩の振る舞いでも何でもいいので、自分の犬の魅力が何かを知り、それを褒めて伸ばしてあげることが大事」と助言した。

 同市倉知の主婦野口圭子さん(46)はヨークシャー・テリアの海君と参加。「すごく利口な犬じゃないとできないと思っていたが、基本的なしつけをしっかりすれば大丈夫と知り安心した。人との交流が、この子にも相手にもプラスになるよう実践していきたい」と話す。

 講座終了後は、施設での実践にも取り組み、将来的には活動団体も立ち上げたい考え。横山教授は「息の長い取り組みだが、地域住民と入所者とのなじみの関係ができれば、認知症ケアの質向上につながるはず」と意気込む。

(2015年10月23日 中日新聞朝刊中濃版より

戻る < 一覧に戻る > 次へ