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2015.09.05
愛知大学野球 秋季リーグきょう開幕 混戦の秋 俺が導く
愛知大学野球秋季リーグ(中日新聞社後援)は5日に名古屋市のパロマ瑞穂球場で開幕し、8週にわたって熱戦を繰り広げる。春の1部は勝ち点3で3校が並ぶ大混戦。勝率で上回った愛院大が優勝した。秋も本命不在。その中で優勝争いの鍵を握りそうなのが、春は1年生ながらリーグトップタイの5勝を挙げて敢闘賞、新人賞を手にした名城大の栗林良吏(りょうじ)、3勝して防御率1.68の愛大の中川誠也(4年)の両投手だ。2人の秋への意気込みを聞くとともに、プロ野球中日の元スカウトの法元英明さん(80)に好選手を紹介してもらった。
■1部 実力伯仲
6校に実力差はない。直近の2季は最終週まで優勝校が決まらず、今季も同様に混戦模様。その中から連覇を狙う愛院大、春のリーグ戦後半からチームがまとまった愛大、打力のある中部大が優勝争いの軸となりそうだ。
愛院大は内野陣の守りが堅く、接戦を勝ち切れる粘り強さがある。エース大蔵の不調が気がかりだが後藤、木村など1年生投手陣が台頭。打線に迫力はないが森田、豊田が出塁し、足でかき回す。
愛大は左の中川、右の西川の2枚看板が健在。投手陣の安定感は他校を上回る。東、小川、安藤と上位打線には好打者が並び、得点力がある。開幕週から実力を発揮できれば、十分に頂点を狙える。
春のチーム打率がリーグトップの2割7分2厘の中部大。春の首位打者白石や長打力がある神鳥など、野手はタレントぞろい。ただ投手陣には柱がいない。奮起次第で優勝が近づく。
名城大は1年生栗林に加え、昨春にリリーフで活躍した右腕大久保和も先発を務める。遊撃手野田賢ら内野手が投手陣をもり立てる。接戦に持ち込んで勝機を見いだす。
中京大は春に1・53で最優秀防御率賞の右腕山下、何度も好リリーフを見せた左腕山中ら投手陣は盤石。打線の援護が待たれる。
春に14試合中12試合で登板し、リーグ髄一のスタミナを誇る左腕エース西川を擁する日福大。春は内野手の失策絡みで失点するケースが多く、守りの整備が上位進出の鍵となる。
■中川誠也(愛大) ブランク克服 4年の責任感
春は手応えをつかむと同時に、責任感も芽生えた。「自分がやらなくちゃ、という気持ちになっている」。学生生活最後のシーズン。エースとしての覚悟を決めている。
打者との力関係や試合展開を考えながら、冷静にギアを上げ下げする。ピンチの時ほど強気に内角を攻める。マウンド上の姿は、2年半のブランクを感じさせない。
三重・伊勢工高3年の夏に甲子園を経験したが左肘を痛め、大学入学直後に手術を受けた。リハビリに取り組んでいるうちに練習に顔を出さなくなり、野球どころか大学もやめようかと悩んでいた。だが「自分には野球しかない」と思い直し、昨夏の合宿にいきなり合流。秋は8試合に登板した。
ひと冬越えて心身ともにたくましくなった。春は6試合に先発、リーグ戦初勝利を挙げると、以降も二つ白星を積み上げた。「思い切り腕を振れたことで、肘の不安も吹っ切れた」
課題は緩急をつけた投球。この夏は変化球で三振を取れるよう、緩いカーブを習得した。目指すのは再びの全国舞台。明治神宮大会出場に向け、さらなる進化を見せる。
■栗林良吏(名城大) 躍動1年生 負けない投手に
負けない投手になる。大学生になったばかりで、いきなりチームをけん引した右腕の目標はシンプルだ。「これからは投げたら勝つのが当たり前、と見られるので」。結果を出した者が担う重圧を、宿命のように受け止める。
最速146キロの真っすぐと、切れのあるスライダーを低めに集める。ピンチになると、力を込めた直球で三振を奪う気持ちの強さも持ち合わせる。8月のプロ野球中日2軍との交流戦では、リーグ選抜チームの一員となった。1回1/3を無安打無失点。確かな実力を見せつけた。
ただ春は6回以降に集中打を浴びる場面もあった。狙われたのは直球ばかり。秋に向けて、カーブやチェンジアップなどの変化球の精度を磨
き、的を絞らせない投球を目指している。
愛知黎明高2年の秋までは内野手で、本格的に投手となってから2年足らず。高校とは違い、投球練習に専念できることでフォームが安定したという。でも「力の出し入れやペース配分などは、まだよく分からないことが多い」と謙遜する。伸びしろがある逸材が、秋の戦いを熱くする。
■中日元スカウト 法元英明さん 西川(日福大)、神鳥(中部大)にも注目
名城大の栗林は低めにボールを集め、どんどんストライクを取れるのがいい。1年生ながら精神面もしっかりしており、投球に強弱をつけられる。フォームも安定しているが、下半身を鍛えれば上体のひねりがシャープになって、もっと球に切れが出てくる。
愛大の中川はブランクがあったが投球術が巧みで制球も良く、素質を感じる。感性が鋭いので、打者の裏をかくのがうまい。序盤と後半の攻め方を変えるなど、ペース配分を考えながら投げられる。もう少し球速が出てくると、もっと簡単に打ち取ることができるだろう。
ほかの投手では、日福大の西川昇吾が印象に残る。連投をしていく中で、状況や相手打者を見ながら、めりはりを付けた投球ができるようになった。
野手では中部大の神鳥猛流(たける)三塁手。体幹が強く、打球を遠くに飛ばせるパワーもある。182センチ、93キロと体格もいい。ただ初球から打っていく積極性がもっと欲しい。ちょっと球を待っている感じがする。
春は代打で活躍していた名城大の杉本力也などいい打者はほかにもいるけど、愛知リーグの各打者は一様に粘りがない。淡泊にならずに、投手が嫌がるようなプレーをすると、もっと試合が面白くなる。
■秋季リーグ 1部の日程
9月 5日(土) 愛院大−日福大 中部大−愛大 (瑞穂)
9月 6日(日) 愛大−中部大 日福大−愛院大 (瑞穂)
9月12日(土) 名城大−愛 大 中京大−中部大 (瑞穂)
9月13日(日) 中部大−中京大 愛 大−名城大 (瑞穂)
9月19日(土) 愛院大−中京大 名城大−日福大 (瑞穂)
9月20日(日) 日福大−名城大 中京大−愛院大 (豊田)
9月26日(土) 愛院大−愛 大 中部大−日福大 (豊田)
9月27日(日) 日福大−中部大 愛 大−愛院大 (豊田)
10月 3日(土) 名城大−中部大 中京大−愛 大 (小牧)
10月 4日(日) 愛 大−中京大 中部大−名城大 (春日井)
10月10日(土) 愛院大−名城大 中京大−日福大 (愛院大)
10月11日(日) 日福大−中京大 名城大−愛院大 (豊田)
10月17日(土) 愛院大−中部大 愛 大−日福大 (瑞穂)
10月18日(日) 日福大−愛 大 中部大−愛院大 (瑞穂)
10月24日(土) 名城大−中京大 (瑞穂)
10月25日(日) 中京大−名城大 (瑞穂)
【注】対戦カードの右は球場。開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
(2015年9月6日 中日新聞朝刊市民版より)
■1部 実力伯仲
6校に実力差はない。直近の2季は最終週まで優勝校が決まらず、今季も同様に混戦模様。その中から連覇を狙う愛院大、春のリーグ戦後半からチームがまとまった愛大、打力のある中部大が優勝争いの軸となりそうだ。
愛院大は内野陣の守りが堅く、接戦を勝ち切れる粘り強さがある。エース大蔵の不調が気がかりだが後藤、木村など1年生投手陣が台頭。打線に迫力はないが森田、豊田が出塁し、足でかき回す。
愛大は左の中川、右の西川の2枚看板が健在。投手陣の安定感は他校を上回る。東、小川、安藤と上位打線には好打者が並び、得点力がある。開幕週から実力を発揮できれば、十分に頂点を狙える。
春のチーム打率がリーグトップの2割7分2厘の中部大。春の首位打者白石や長打力がある神鳥など、野手はタレントぞろい。ただ投手陣には柱がいない。奮起次第で優勝が近づく。
名城大は1年生栗林に加え、昨春にリリーフで活躍した右腕大久保和も先発を務める。遊撃手野田賢ら内野手が投手陣をもり立てる。接戦に持ち込んで勝機を見いだす。
中京大は春に1・53で最優秀防御率賞の右腕山下、何度も好リリーフを見せた左腕山中ら投手陣は盤石。打線の援護が待たれる。
春に14試合中12試合で登板し、リーグ髄一のスタミナを誇る左腕エース西川を擁する日福大。春は内野手の失策絡みで失点するケースが多く、守りの整備が上位進出の鍵となる。
■中川誠也(愛大) ブランク克服 4年の責任感
春は手応えをつかむと同時に、責任感も芽生えた。「自分がやらなくちゃ、という気持ちになっている」。学生生活最後のシーズン。エースとしての覚悟を決めている。
打者との力関係や試合展開を考えながら、冷静にギアを上げ下げする。ピンチの時ほど強気に内角を攻める。マウンド上の姿は、2年半のブランクを感じさせない。
三重・伊勢工高3年の夏に甲子園を経験したが左肘を痛め、大学入学直後に手術を受けた。リハビリに取り組んでいるうちに練習に顔を出さなくなり、野球どころか大学もやめようかと悩んでいた。だが「自分には野球しかない」と思い直し、昨夏の合宿にいきなり合流。秋は8試合に登板した。
ひと冬越えて心身ともにたくましくなった。春は6試合に先発、リーグ戦初勝利を挙げると、以降も二つ白星を積み上げた。「思い切り腕を振れたことで、肘の不安も吹っ切れた」
課題は緩急をつけた投球。この夏は変化球で三振を取れるよう、緩いカーブを習得した。目指すのは再びの全国舞台。明治神宮大会出場に向け、さらなる進化を見せる。
■栗林良吏(名城大) 躍動1年生 負けない投手に
負けない投手になる。大学生になったばかりで、いきなりチームをけん引した右腕の目標はシンプルだ。「これからは投げたら勝つのが当たり前、と見られるので」。結果を出した者が担う重圧を、宿命のように受け止める。
最速146キロの真っすぐと、切れのあるスライダーを低めに集める。ピンチになると、力を込めた直球で三振を奪う気持ちの強さも持ち合わせる。8月のプロ野球中日2軍との交流戦では、リーグ選抜チームの一員となった。1回1/3を無安打無失点。確かな実力を見せつけた。
ただ春は6回以降に集中打を浴びる場面もあった。狙われたのは直球ばかり。秋に向けて、カーブやチェンジアップなどの変化球の精度を磨
き、的を絞らせない投球を目指している。
愛知黎明高2年の秋までは内野手で、本格的に投手となってから2年足らず。高校とは違い、投球練習に専念できることでフォームが安定したという。でも「力の出し入れやペース配分などは、まだよく分からないことが多い」と謙遜する。伸びしろがある逸材が、秋の戦いを熱くする。
■中日元スカウト 法元英明さん 西川(日福大)、神鳥(中部大)にも注目
名城大の栗林は低めにボールを集め、どんどんストライクを取れるのがいい。1年生ながら精神面もしっかりしており、投球に強弱をつけられる。フォームも安定しているが、下半身を鍛えれば上体のひねりがシャープになって、もっと球に切れが出てくる。
愛大の中川はブランクがあったが投球術が巧みで制球も良く、素質を感じる。感性が鋭いので、打者の裏をかくのがうまい。序盤と後半の攻め方を変えるなど、ペース配分を考えながら投げられる。もう少し球速が出てくると、もっと簡単に打ち取ることができるだろう。
ほかの投手では、日福大の西川昇吾が印象に残る。連投をしていく中で、状況や相手打者を見ながら、めりはりを付けた投球ができるようになった。
野手では中部大の神鳥猛流(たける)三塁手。体幹が強く、打球を遠くに飛ばせるパワーもある。182センチ、93キロと体格もいい。ただ初球から打っていく積極性がもっと欲しい。ちょっと球を待っている感じがする。
春は代打で活躍していた名城大の杉本力也などいい打者はほかにもいるけど、愛知リーグの各打者は一様に粘りがない。淡泊にならずに、投手が嫌がるようなプレーをすると、もっと試合が面白くなる。
■秋季リーグ 1部の日程
9月 5日(土) 愛院大−日福大 中部大−愛大 (瑞穂)
9月 6日(日) 愛大−中部大 日福大−愛院大 (瑞穂)
9月12日(土) 名城大−愛 大 中京大−中部大 (瑞穂)
9月13日(日) 中部大−中京大 愛 大−名城大 (瑞穂)
9月19日(土) 愛院大−中京大 名城大−日福大 (瑞穂)
9月20日(日) 日福大−名城大 中京大−愛院大 (豊田)
9月26日(土) 愛院大−愛 大 中部大−日福大 (豊田)
9月27日(日) 日福大−中部大 愛 大−愛院大 (豊田)
10月 3日(土) 名城大−中部大 中京大−愛 大 (小牧)
10月 4日(日) 愛 大−中京大 中部大−名城大 (春日井)
10月10日(土) 愛院大−名城大 中京大−日福大 (愛院大)
10月11日(日) 日福大−中京大 名城大−愛院大 (豊田)
10月17日(土) 愛院大−中部大 愛 大−日福大 (瑞穂)
10月18日(日) 日福大−愛 大 中部大−愛院大 (瑞穂)
10月24日(土) 名城大−中京大 (瑞穂)
10月25日(日) 中京大−名城大 (瑞穂)
【注】対戦カードの右は球場。開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
(2015年9月6日 中日新聞朝刊市民版より)