HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2015.03.13
運転中 津波に襲われたら 愛知工科大准教授開発 ゴーグル型体験装置
南海トラフ巨大地震に備え、愛知工科大(愛知県蒲郡市)の板宮朋基准教授(画像処理学)が、車で避難している時に津波に遭う様子を立体映像で再現するシミュレーターソフトを開発した。ゴーグル越しに360度見渡せる映像が見え、ハザードマップに記された被害想定を現実のように体験でき、いざというときの心構えを養える。(坂口千夏)
市街地を車で避難している際、津波が押し寄せる想定。パソコンに接続したゴーグル型の装置(ヘッドマウントディスプレー)を装着すると、前方からの津波で車が浮き上がり、ほかの車と一緒に後方へ流される立体映像が展開される。短時間で運転手の首の辺りまで浸水し、車のドアが開かなくなる状況が現実感を伴って再現される。
板宮准教授は、車載カメラがとらえた東日本大震災の津波映像をコンピューターで分析。市街地のデータは、ゼンリンが公開している3Dモデルなどと組み合わせて波や動き方をプログラムした。ゴーグル型装置を使った津波シミュレーションは日本初という。
板宮准教授は「自治体が予測に基づいて津波で被災する動画を作成した例はあるが、路上で実際に遭遇する際の視線とは違う。シミュレーターでは、ハザードマップでは実感しにくい災害状況も正しく認識できる」と説明する。地震発生時、高齢者や幼い子どもがいるなどの理由で車での避難を選択するケースも多いと考えられるが、「車の場合は乗り捨てに抵抗があり、判断が遅れがち。シミュレーターで実際に選択する時間は短いことを理解し、危機意識や決断力を高めてほしい」と訴える。
板宮准教授は、防災訓練にも活用しやすいよう、スマートフォン用アプリと紙製ゴーグルを使った簡易版のソフトも開発。地形や建物の3Dデータがあれば、その地域の被災状況を再現でき、高潮や豪雨による氾濫にも応用できるという。
シミュレーターは13日、名古屋大(名古屋市千種区)で開催されているモバイル学会で発表される。15日には、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で開かれる「防災@カーライフフェスタ」で一般公開される。
(2015年3月13日 中日新聞朝刊34面より)
市街地を車で避難している際、津波が押し寄せる想定。パソコンに接続したゴーグル型の装置(ヘッドマウントディスプレー)を装着すると、前方からの津波で車が浮き上がり、ほかの車と一緒に後方へ流される立体映像が展開される。短時間で運転手の首の辺りまで浸水し、車のドアが開かなくなる状況が現実感を伴って再現される。
板宮准教授は、車載カメラがとらえた東日本大震災の津波映像をコンピューターで分析。市街地のデータは、ゼンリンが公開している3Dモデルなどと組み合わせて波や動き方をプログラムした。ゴーグル型装置を使った津波シミュレーションは日本初という。
板宮准教授は「自治体が予測に基づいて津波で被災する動画を作成した例はあるが、路上で実際に遭遇する際の視線とは違う。シミュレーターでは、ハザードマップでは実感しにくい災害状況も正しく認識できる」と説明する。地震発生時、高齢者や幼い子どもがいるなどの理由で車での避難を選択するケースも多いと考えられるが、「車の場合は乗り捨てに抵抗があり、判断が遅れがち。シミュレーターで実際に選択する時間は短いことを理解し、危機意識や決断力を高めてほしい」と訴える。
板宮准教授は、防災訓練にも活用しやすいよう、スマートフォン用アプリと紙製ゴーグルを使った簡易版のソフトも開発。地形や建物の3Dデータがあれば、その地域の被災状況を再現でき、高潮や豪雨による氾濫にも応用できるという。
シミュレーターは13日、名古屋大(名古屋市千種区)で開催されているモバイル学会で発表される。15日には、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)で開かれる「防災@カーライフフェスタ」で一般公開される。
(2015年3月13日 中日新聞朝刊34面より)