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お知らせ  2025.11.21

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屋根で過ごした19日間 赤痢におびえて… 伊勢湾台風の記憶 後世に

被災経験を語る伊藤さん(中)=大府市の至学館大で

被災経験を語る伊藤さん(中)=大府市の至学館大で

■至学館大で被災者が語る授業

 66年前に東海地方に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風の被災者が、防災を学ぶ学生らに向けて体験談と教訓を語る授業が20日、大府市の至学館大であった。(望月海希)

 語り手を務めたのは、至学館大の前身である中京女子短期大の卒業生、伊藤米子さん(92)=名古屋市南区。当時も住んでいた南区は、高潮や河川の氾濫、貯木場からの木材の流出などで特に被害が大きいエリアだった。水が引くまでの19日間は家族と屋根の上で過ごしたといい、「逃げた時に着ていた半袖のブラウスのまま。他に着るものもなく、震え上がる寒さだった」と振り返った。

 いかだで運ばれて来た配給のおにぎりにカビが生えていたり、不衛生な環境下で赤痢におびえたりと、不便な生活はしばらく続いた。「今では想像できない悲惨な状況だった。災害はいつ起きるか分からない。防災について勉強して、お役に立てる人であってほしい」と学生に呼びかけた。

 防災士資格を持つ4年の古間莉緒さん(22)は「被災後の生々しい状況を知り、災害に備える大切さをあらためて感じた。伊勢湾台風の体験談を次世代にどう伝えていけばいいか危機感も持った」と語った。

(2025年11月21日 中日新聞朝刊知多総合版より)
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