HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2015.02.05
出漁中に津波・・・上陸か沖合か 全国初の海上避難地図 三重・南伊勢町作製へ
漁業を基幹産業とする三重県南伊勢町は、大津波の発生時に出漁中の漁船が避難するための海上防災地図を作る方針を決めた。2015年度当初予算案に盛り込む。陸の高台を目指すか、津波の影響が緩和されるとされる水深70メートル以上の沖合に向かうか、漁業者の判断の一助にしてもらう。
徳島県には沖合の水深を示した避難地図があるが、南伊勢町によると、陸と沖合のいずれへの避難も難しい海域を明確にする海上防災地図の作製は全国初という。
水産庁によると、東日本大震災で破損などの被害を受けた漁船は、北海道から千葉県まで太平洋沿いの7道県で計2万8479隻。出漁中に被害を受けた船も相当数あるとみられる。
南伊勢町は、魚介類の水揚げ量が年間9万トンと県内最多。人口1万4000人のうち、年間90日以上漁に出る漁協の正組合員はほぼ1000人に上る。三重県が発表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、最大津波高は12メートルとされている。
震災後、町と三重外湾漁協、鳥羽海上保安部、愛知工業大などが連携し、漁業者の防災対策を検討してきた。一昨年と昨年9月に防災訓練を実施し、課題を洗い出す中で地図を作製することになった。
昨年の訓練には町内の23隻が参加。地震発生から操業海域に津波が到達するまで10分、陸の沿岸部までの到達時間を15分と想定し、漁船を接岸して高台までの避難時間、沿岸から2〜6キロ以上沖の海域(水深70メートル以上)にこぎ出す所要時間を計測した。
地図は表面を広域版、裏面を地区ごとの詳細版とする予定。津波到達前に高台への避難が可能とみられる海域、沖合にこぎ出せる海域、どちらにも時間の余裕がない海域の3つに色分けする。
南伊勢町は漁業者の声を反映させて作製し、15年度中に配布する予定。町防災課の担当者は「沖に出た場合は数日、陸に戻れないことも考えられる。陸の高台に避難するためには母港以外の接岸地点も必要。水や食糧を船に常備するなどの対策と合わせて進めたい」と説明する。
(2015年2月5日 中日新聞夕刊1面より)
徳島県には沖合の水深を示した避難地図があるが、南伊勢町によると、陸と沖合のいずれへの避難も難しい海域を明確にする海上防災地図の作製は全国初という。
水産庁によると、東日本大震災で破損などの被害を受けた漁船は、北海道から千葉県まで太平洋沿いの7道県で計2万8479隻。出漁中に被害を受けた船も相当数あるとみられる。
南伊勢町は、魚介類の水揚げ量が年間9万トンと県内最多。人口1万4000人のうち、年間90日以上漁に出る漁協の正組合員はほぼ1000人に上る。三重県が発表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、最大津波高は12メートルとされている。
震災後、町と三重外湾漁協、鳥羽海上保安部、愛知工業大などが連携し、漁業者の防災対策を検討してきた。一昨年と昨年9月に防災訓練を実施し、課題を洗い出す中で地図を作製することになった。
昨年の訓練には町内の23隻が参加。地震発生から操業海域に津波が到達するまで10分、陸の沿岸部までの到達時間を15分と想定し、漁船を接岸して高台までの避難時間、沿岸から2〜6キロ以上沖の海域(水深70メートル以上)にこぎ出す所要時間を計測した。
地図は表面を広域版、裏面を地区ごとの詳細版とする予定。津波到達前に高台への避難が可能とみられる海域、沖合にこぎ出せる海域、どちらにも時間の余裕がない海域の3つに色分けする。
南伊勢町は漁業者の声を反映させて作製し、15年度中に配布する予定。町防災課の担当者は「沖に出た場合は数日、陸に戻れないことも考えられる。陸の高台に避難するためには母港以外の接岸地点も必要。水や食糧を船に常備するなどの対策と合わせて進めたい」と説明する。
(2015年2月5日 中日新聞夕刊1面より)