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2015.01.28
網×炭 除染に強み 中京大と豊橋の漁網メーカー 汚染土保管袋を共同開発
漁網メーカーの福井ファイバーテック(愛知県豊橋市)が、放射性物質のセシウムを吸着する竹炭を使った除染用の保管袋を中京大と共同開発した。東京電力福島第一原発事故では、除染で出た土を保管する袋が相次いで破れ、中身が漏れて問題となっている。漁網の技術を応用して丈夫な保管袋をつくり、被災地の復興に役立てる。(小柳悠志)
同社は1905(明治38)年から漁網をつくる老舗。サッカーのゴールネットも手掛け、ボールの衝撃を吸収して迫力あるゴールを演出する六角形のネットを日本で初めて開発。2002年の日韓ワールドカップ(W杯)で採用されるなど、技術力が高い。
今回、開発した保管袋は、フェルト状の不織布でつくる内袋と、それを補強する外側の網を一体化してできている。網はダイヤ形の漁網の網目を模してつくられ、県の研究施設で試験したところ、20キロ余りの力で引っ張っても耐えた。
土砂などの汚染廃棄物を詰める内袋は、日光や雨にさらされても5年ほどはほとんど劣化せず使え、移動の際、網をクレーンでつり上げるなどしても破れにくいという。今泉正彦常務は「本業の技術が思わぬ形で生きた」との手応えを語る。
協力したのは中京大の野浪亨教授(環境保全材料)らのグループ。竹を400度で炭にすると、除染に使われる鉱物「ゼオライト」と比べ10倍のセシウム吸着能力があることを突き止めた。竹炭は微細な穴が無数にあり表面にセシウムなどがくっつく特性があるためだ。内袋の不織布は竹炭の粉を練り込んでおり、土砂に含まれるセシウムが、竹炭にくっつき、袋の外側に放射性物質が漏れにくい。価格は縦76センチ、横41センチのサイズで4000円程度。
除染袋は4月から発売する。野浪教授は「竹は簡単に調達でき、炭を安くつくれる。被災地の自治体などで普及させたい」と話す。
(2015年1月28日 中日新聞朝刊9面より)
同社は1905(明治38)年から漁網をつくる老舗。サッカーのゴールネットも手掛け、ボールの衝撃を吸収して迫力あるゴールを演出する六角形のネットを日本で初めて開発。2002年の日韓ワールドカップ(W杯)で採用されるなど、技術力が高い。
今回、開発した保管袋は、フェルト状の不織布でつくる内袋と、それを補強する外側の網を一体化してできている。網はダイヤ形の漁網の網目を模してつくられ、県の研究施設で試験したところ、20キロ余りの力で引っ張っても耐えた。
土砂などの汚染廃棄物を詰める内袋は、日光や雨にさらされても5年ほどはほとんど劣化せず使え、移動の際、網をクレーンでつり上げるなどしても破れにくいという。今泉正彦常務は「本業の技術が思わぬ形で生きた」との手応えを語る。
協力したのは中京大の野浪亨教授(環境保全材料)らのグループ。竹を400度で炭にすると、除染に使われる鉱物「ゼオライト」と比べ10倍のセシウム吸着能力があることを突き止めた。竹炭は微細な穴が無数にあり表面にセシウムなどがくっつく特性があるためだ。内袋の不織布は竹炭の粉を練り込んでおり、土砂に含まれるセシウムが、竹炭にくっつき、袋の外側に放射性物質が漏れにくい。価格は縦76センチ、横41センチのサイズで4000円程度。
除染袋は4月から発売する。野浪教授は「竹は簡単に調達でき、炭を安くつくれる。被災地の自治体などで普及させたい」と話す。
(2015年1月28日 中日新聞朝刊9面より)