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2008.12.25
ガス雲衝突で巨大星団 銀河系誕生の謎に光 名大が解明
銀河系にある巨大星団が、水素分子でできたガス雲の衝突でできたことを、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授らのグループが解明し、24日発表した。これまで巨大星団ができる仕組みは不明だった。銀河系の誕生した時にも巨大星団がつくられており、今回の発見は銀河系の進化を解明する手がかりとして期待される。
今回ガス雲の衝突による誕生を確認した星団は、地球から約2万光年離れた「りゅうこつ座」にある星団「ウエスタールンド2」。太陽5000個分の恒星が3光年の範囲に密集し、誕生から約200万年の若い星が集まっている。
グループは、名大が南米のチリに設置する電波望遠鏡「なんてん2」でこの星団付近を観測、約100光年という大きさの巨大ガス雲2つが交差していることを初めて確認。さらにガス雲は毎秒15キロの極めて高速で移動していることも判明した。こうしたことを詳しく分析した結果、「2つのガス雲の交差点でガス雲同士が衝突している」と結論付けた。
通常ガス雲は絶対温度で10度(セ氏零下263度)だが、今回の交差部分は200度(同零下73度)近くあり、新しく生まれた星によって温度が高まったとみられ、星団の誕生とガス雲の衝突が密接につながっていることも分かったという。
福井教授は「銀河系などには100億年以上前の銀河系誕生時につくられたと考えられる、さらに巨大な星団がある。これらもウエスタールンド2と同じようにガス雲の衝突によって生まれた可能性がある」と話している。
(写真)一つのガス雲(ピンク色の線)と別のガス雲(青色の線)が衝突し、中心部の青白く斑点状に光った部分で星団が誕生(NASA提供の原画を名大が処理)
(2008年12月25日 中日新聞朝刊1面より)
今回ガス雲の衝突による誕生を確認した星団は、地球から約2万光年離れた「りゅうこつ座」にある星団「ウエスタールンド2」。太陽5000個分の恒星が3光年の範囲に密集し、誕生から約200万年の若い星が集まっている。
グループは、名大が南米のチリに設置する電波望遠鏡「なんてん2」でこの星団付近を観測、約100光年という大きさの巨大ガス雲2つが交差していることを初めて確認。さらにガス雲は毎秒15キロの極めて高速で移動していることも判明した。こうしたことを詳しく分析した結果、「2つのガス雲の交差点でガス雲同士が衝突している」と結論付けた。
通常ガス雲は絶対温度で10度(セ氏零下263度)だが、今回の交差部分は200度(同零下73度)近くあり、新しく生まれた星によって温度が高まったとみられ、星団の誕生とガス雲の衝突が密接につながっていることも分かったという。
福井教授は「銀河系などには100億年以上前の銀河系誕生時につくられたと考えられる、さらに巨大な星団がある。これらもウエスタールンド2と同じようにガス雲の衝突によって生まれた可能性がある」と話している。
(写真)一つのガス雲(ピンク色の線)と別のガス雲(青色の線)が衝突し、中心部の青白く斑点状に光った部分で星団が誕生(NASA提供の原画を名大が処理)
(2008年12月25日 中日新聞朝刊1面より)