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中日新聞掲載の大学記事

2014.06.07

東松島の民謡 後世に 四日市大・鬼頭教授らCD制作 被災の阿部さん歌う

 四日市大総合政策学部の鬼頭浩文教授(51)が代表を務める独立音楽レーベル「YUME(ユメ)」が、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の民謡を収録したCD「ふるさと奥松島の唄」を作った。仮設住宅での支援活動で出会ったアマチュア民謡歌手阿部康さん(65)が歌う2曲を収め、四日市市出身の津軽三味線兄弟ユニット「KUNI−KEN」が伴奏。鬼頭さんは「震災によって口承される機会が減る民謡を後世に残していきたい」と話している。(河崎裕介)
 
 東松島市は宮城県北東の沿岸部に位置し、景勝地や海水浴場として知られる奥松島がある。会社員の阿部さんは海に近い野蒜(のびる)地区に住んでいたが、津波で家を流され、現在は内陸の根古地区にある仮設住宅に住む。
 
 震災後の2011年4月、鬼頭さんら四日市大の教員や学生が中心となって「四日市東日本大震災支援の会」を立ち上げ、東松島市で泥かきや仮設住宅を訪れてイベントを開く活動をしてきた。13年3月、交流のあるKUNI−KENが支援活動に同行して仮設住宅で演奏会を開き、阿部さんと出会った。
 
 鬼頭さんらは震災で民謡を知る人が亡くなったり、被災者が各地に散ったりして民謡が口承される機会が減っている状況を知る。民謡を記録して残すことを提案し、13年秋に四日市に阿部さんを招き歌を収録。ジャケットの写真撮影などを進め、今年5月に完成した。
 
 収録曲は14番まであるうちの一部を抜粋した「野蒜甚句」。霊場として知られる金華山や美しい浜辺の景色を題材にする。もう一曲は、震災で変わり果てた奥松島を見た悲しみから阿部さんが作詞作曲した「奥松島甚句」。漁師町のにぎわいや日本三大渓の一つ「嵯峨渓」など自然の光景を歌う。「かつての故郷の姿を伝えるために歌い続け、三重の皆さんに恩返しをしたい」と阿部さんは話す。
 
 CDは1000枚作り、うち500枚は根古地区の仮設住宅で無料配布したり、現地の物産館などで販売したりする。残りは税込み1000円で、四日市市の「じばさん三重」や四日市大で販売。問い合わせは四日市大コミュニティカレッジ=電059(365)6615=へ。

(2014年6月7日 中日新聞朝刊北勢版より)

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