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中日新聞掲載の大学記事

2014.05.08

卵細胞 加齢でタンパク質減 藤田保健衛生大 高齢出産リスク一因か

 女性の卵細胞内の染色体を正常に保つタンパク質「コヒーシン」が加齢に伴って減少することが、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)の倉橋浩樹教授(分子遺伝学)らのグループによる研究で分かった。高齢出産の場合、ダウン症など先天性疾患を持つ新生児の出生などが増える一因とみられ、そのリスクを減らす生殖医療技術の開発につながる可能性がある。8日付の米科学誌・プロスワン(電子版)で発表した。

 コヒーシンは卵細胞の中で、同じ遺伝情報を持つ染色体同士をペアでつなぎ留める重要なタンパク質。倉橋教授らは、藤田保健衛生大病院で卵巣摘出を受けた19〜49歳の患者8人の同意を得て、卵巣内にあった卵細胞のコヒーシン濃度を測定。その結果、年齢とともに減少し、49歳では19歳からほぼ半減していた。

 女性の卵子は、女性が母親の胎内にいる間につくられ、出生後は排卵されるまで10〜50年の間、細胞分裂せず、卵巣内にとどまっている。卵巣内で、加齢に伴ってコヒーシンが何らかの原因で減少し、染色体がつなぎ留められているバランスが崩れ、排卵後の細胞分裂で染色体異常を引き起こしていると考えられる。

 染色体に異常が生じれば、流産したり、先天性疾患を持って生まれたりする。コヒーシンの働きを失わせたマウスは、染色体異常の卵子が急増することが分かっている。

 倉橋教授は「コヒーシンの減少を防ぐ方法が開発されれば、染色体異常の軽減が期待できる」と話している。

(2014年5月8日 中日新聞夕刊1面より)

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