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中日新聞掲載の大学記事

2013.11.13

嫉妬度 カルピス濃度でお知らせ 瀬戸で名学院大生 「デートDV」危険性啓発

 通行人にアンケートに答えてもらって嫉妬心が強いか薄いかを判定し、乳酸飲料「カルピス」の濃度で回答者に結果を知らせる、ユニークな取り組みが瀬戸市栄町のパルティせとであった。恋人に暴力を振るう「デートDV」に関心を持ってもらおうと、名古屋学院大(名古屋市)の研究グループが企画した。(水越直哉)

 デートDV(ドメスティックバイオレンス)は、暴力はもちろん、携帯電話の中身を見ることや行動を制限する過干渉なども含まれる。

 同大では、山下匡将(まさのぶ)講師(31)が中心となって研究を進めてきた。瀬戸市にもキャンパスがあるため、市が事務局を務める「大学コンソーシアムせと」の補助金を受けており、研究成果は市民がDVの加害者にも被害者にもならないよう啓発にも生かす。

 山下講師の研究グループは2009年度、複数の大学の学生約1000人にアンケートを実施した。その結果、恋人から「殴る・蹴る」を受けた学生は8.3%に上った。「携帯電話を勝手に見られた」学生は22%に達し、「無理やり性行為をされた」学生も4.4%いた。

■濃すぎても薄すぎても

 今回の取り組みは、デートDVの危険性を市民に知ってもらおうと、5人の学生が考案した。アンケートの設問は、「好きな人の1番でありたい」「わりと気が短い」「自信が持てない」などで、結果を基に回答者の「嫉妬度」を判定した。出されたカルピスの味が濃いほど嫉妬度が強いことになり、10~40%は適度な濃さだが、90%以上はほぼ原液。一方で、淡泊すぎる嫉妬度ゼロも好ましくなく、飲むのはただの水となる。

 この日は幅広い年齢層の男女56人が回答。多くは嫉妬度40%前後だったが、嫉妬度80%の判定が出た10代女性もあり、濃い味に眉をひそめながら、「確かに思い当たるかも」と話したという。

 企画した学生の1人で、2年の神林拳都さん(19)は「嫉妬心を認識すると恋人に対する暴力を抑止できる。カルピスの濃度が、うまく印象に残ればうれしい」と話した。山下講師は「DVに発展してしまうと、被害者は『暴力も愛』と受け入れてしまうことがある。付き合う前に嫉妬度を知り、暴力を抑制することが大事。今後も活動は継続したい」と語った。

(2013年11月13日 中日新聞朝刊なごや東版より)
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