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中日新聞掲載の大学記事

2013.08.01

「ノーベル賞反応」ニッケル触媒で改良 名大が実用化成功 価格100分の1

 安価なニッケルを材料にした触媒を使い、2010年のノーベル化学賞で対象となった化学反応「溝呂木(みぞろき)−ヘック型カップリング反応」を改良することに、名古屋大トランスフォーマティブ生命分子研究所の伊丹健一郎教授、山口潤一郎准教授らのグループが成功した。ドイツの化学誌「アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション」の電子版に発表した。

 溝呂木−ヘック型カップリング反応は、医薬品や農薬、液晶材料などの合成に広く使われている。合成するための触媒は従来、高価なパラジウムが利用されてきた。

 グループはパラジウムと性質の似ているニッケルに着目。ニッケル原子の周りに有機物を「飾り」として付けることで、触媒として働くように仕上げた。伊丹教授は「今後、新しい化合物を作りだしていく基礎になる反応」と説明している。

 ニッケルはパラジウムに比べて、価格が100分の1ほどと実用的。今回の触媒は、8月に産業用に発売される。

 10年のノーベル化学賞は、北海道大の鈴木章名誉教授、米パデュー大の根岸英一特別教授、米デラウェア大のリチャード・ヘック名誉教授が受賞した。

(2013年8月1日 中日新聞朝刊3面より)
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