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2013.07.23
柔らかい構造に変化 名大院成功 ヨウ素触媒 性能アップ
化学反応を促進するヨウ素触媒を、ブロックのように硬かった構造から、柔らかくしなやかな構造に変えることで触媒の性能を飛躍的に高めることに、名古屋大大学院工学研究科の石原一彰教授らのグループが成功した。ドイツの化学会誌「アンゲバンテ・ケミー・インターナショナル・エディション」に発表した。
触媒は、医薬品の化学合成を進めるときなどに使われる。現在、希少金属を原材料にする例が多く、化学合成の際に、この金属が残ると人体に有害になる恐れがある。金属は主に海外から入手しなければならず、安定確保も課題となっている。
石原教授は「日本はチリに次ぐヨウ素の産出国。原材料を輸入に頼らなくてよい面でも、ヨウ素触媒の改良には意味がある」と説明している。
グループは2009年にヨウ素を使った触媒を開発したが、今回はこの触媒の性能を、さらに高くした。化学反応を進める触媒の中心部分ではなく、柔軟性のない周囲の部分に着目。そこをしなやかな形になるように化学構造を変化させた。
触媒は、鍵穴にすっぽりと入り込んで穴を覆い隠すような仕組みで物質を中心部分に取り込むようになり、性能が10倍以上向上。反応時間も従来の半分に短縮された。
石原教授は「以前、開発したヨウ素触媒が第一世代なら、今回、性能を高めた触媒は第二世代と言える」と期待している。
(2013年7月23日 中日新聞朝刊3面より)
触媒は、医薬品の化学合成を進めるときなどに使われる。現在、希少金属を原材料にする例が多く、化学合成の際に、この金属が残ると人体に有害になる恐れがある。金属は主に海外から入手しなければならず、安定確保も課題となっている。
石原教授は「日本はチリに次ぐヨウ素の産出国。原材料を輸入に頼らなくてよい面でも、ヨウ素触媒の改良には意味がある」と説明している。
グループは2009年にヨウ素を使った触媒を開発したが、今回はこの触媒の性能を、さらに高くした。化学反応を進める触媒の中心部分ではなく、柔軟性のない周囲の部分に着目。そこをしなやかな形になるように化学構造を変化させた。
触媒は、鍵穴にすっぽりと入り込んで穴を覆い隠すような仕組みで物質を中心部分に取り込むようになり、性能が10倍以上向上。反応時間も従来の半分に短縮された。
石原教授は「以前、開発したヨウ素触媒が第一世代なら、今回、性能を高めた触媒は第二世代と言える」と期待している。
(2013年7月23日 中日新聞朝刊3面より)