進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2013.05.10

西尾・吉良出身の尾崎士郎 来年没50周年で記念事業 「人生劇場」漫画で発信

■女子学生が担当「若い世代も魅力知って」

 西尾市吉良町出身の作家尾崎士郎(1898〜1964年)が亡くなって来年で50年になるのを機に、地元の没50周年記念事業実行委員会は、代表作の長編小説「人生劇場」の漫画版をブログで連載する取り組みを始めた。東海学園大の女子学生2人が担当し、若い世代に郷土が生んだ文豪の魅力を知ってもらうのが狙いだ。 (藤原哲也)

 2人は、東海学園大人文学部マンガ・映像コース3年の森岡正美さん(20)=名古屋市東区=と、三戸葉月さん(20)=豊橋市。森岡さんが、昨年から名鉄西尾・蒲郡線の応援団ブログで連載中の4こま漫画などに参加したのが縁で話が進み、森岡さんが同級生の三戸さんにも声を掛けて漫画版を手掛けることになった。

 2人とも尾崎士郎のことは知らなかったが、原作を何度も読んでイメージを膨らませて作画を開始。森岡さんが人物、三戸さんが背景を主に担当し、1週間に1ページのペースでブログに掲載する。

 現在読めるのは表紙を含めてまだ5ページのみだが、来年2月までに「青春編」の全48ページを書き上げる予定だ。

 森岡さんは「内容は難しかったが、3回以上読んで理解できた。父と子の関係など原作を分かりやすく伝えたい」と意気込み十分。三戸さんは「同じ三河出身なのに知らなかったので勉強になった。明治時代の写真を調べて描いている」と苦労を話す。人生劇場を若い人にも知ってほしいとの思いが、2人を駆り立てている。

 ブログの管理人で、監修を務める市内在住のデザイン広告会社員筒井潔さん(45)は「今後は漫画での表現が難しいシーンも出てくるが、小学生にも分かる内容を目指して応援したい」と語る。漫画は完成後に冊子にして市内の小中学校や図書館に配布する考えだ。

 実行委は、西尾市の市史編さん委員や旧吉良町の教育長などを務めた11人で構成。漫画版のブログ以外では、市と連携してメッセージ集の編集や講演会など7事業を計画している。講演会は12月15日、講師に俳優の石坂浩二さんを招いて市文化会館で予定する。

 ブログは「尾崎士郎没50周年」で検索。

 ▼尾崎士郎 1898(明治31)年、旧幡豆郡横須賀村(現西尾市吉良町)生まれ。早稲田大に進学する18歳まで故郷で過ごす。大学中退後に懸賞小説が入選して小説家となり、1933(昭和8)年から自伝的小説の代表作「人生劇場」の連載を都新聞(現在の東京新聞)で始める。主人公青成瓢吉の青春と成長を描いた連載は、30年近く続いた。酒を愛し、川端康成など数多くの文士とも交流した。64(昭和39)年に死去。

(2013年5月10日 中日新聞朝刊県内総合版より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ