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2013.03.15
殻や突起は「隠れた羽」 名大院グループ 昆虫の進化で新発見
昆虫には飛ぶための羽のほか、体を守ったり外敵を攻撃する「隠れた羽」があることを、名古屋大大学院生命農学研究科の新美輝幸助教らのグループが突き止め、14日の米科学誌「サイエンス」電子版に発表した。
約3億年前の原始的な昆虫の化石には多数の羽があるが、進化の過程で飛ぶための4枚の羽だけが残ったと、これまでの学説では考えられてきた。今回の研究で、原始的な昆虫の羽が現在も形を変えて引き継がれていることが分かった。
新美助教らは、甲虫「チャイロコメノゴミムシダマシ」を使って実験。羽をつくる指示を出す遺伝子「ベスティジアル」の働きをなくすと、成虫とサナギの体にどんな変化が出るかを調べた。
その結果、サナギでは腹部にある突起がなくなり、成虫では羽がなくなるだけでなく、胸部の硬い殻も形が変わった。サナギの突起は敵を攻撃するためのもので、成虫の硬い殻は体を保護する役割を持つが、これらの部位も羽と同じ起源であることが分かった。
新美助教は「昆虫の多様な進化のメカニズムを探るうえで、貴重な発見」と話した。
(2013年3月15日 中日新聞朝刊32面より)
約3億年前の原始的な昆虫の化石には多数の羽があるが、進化の過程で飛ぶための4枚の羽だけが残ったと、これまでの学説では考えられてきた。今回の研究で、原始的な昆虫の羽が現在も形を変えて引き継がれていることが分かった。
新美助教らは、甲虫「チャイロコメノゴミムシダマシ」を使って実験。羽をつくる指示を出す遺伝子「ベスティジアル」の働きをなくすと、成虫とサナギの体にどんな変化が出るかを調べた。
その結果、サナギでは腹部にある突起がなくなり、成虫では羽がなくなるだけでなく、胸部の硬い殻も形が変わった。サナギの突起は敵を攻撃するためのもので、成虫の硬い殻は体を保護する役割を持つが、これらの部位も羽と同じ起源であることが分かった。
新美助教は「昆虫の多様な進化のメカニズムを探るうえで、貴重な発見」と話した。
(2013年3月15日 中日新聞朝刊32面より)