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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.11

「数学確率論 研究の好機」 県立大で世界の学者集会 国際舞台後輩に託す

■自然界の「ゆらぎ」解析理論提唱 名大名誉教授飛田さん

 水中を不規則に動く微粒子の動き(ブラウン運動)など自然界の偶発的な「ゆらぎ」を数学的に解析する手法「ホワイトノイズ解析」の基礎を築いた名古屋大名誉教授の飛田武幸さん(85)=中日文化賞受賞者=が、国際的な舞台の一線から退く。 (中村禎一郎)

 飛田さんは、乱流をテーマにしている名大大学院多元数理科学研究科の木村芳文教授ら後輩の研究を例に挙げ、「コンピューターの登場などで数学の世界も大きく変わろうとしている。今こそアジア、日本、愛知で世界をリードする研究を進めるチャンス」と話している。

 長久手市の県立大で7〜9日の日程で開かれた確率論の国際的な研究集会。世界各国から集まった数学者60人余を前に、自らの数学研究を説明する飛田さんの姿があった。発表後には「先生」と言いながら近づき、握手を求める参加者も。

 飛田さんの専門は確率論。1975(昭和50)年にホワイトノイズ解析の理論を提唱。分子生物学やナノテクノロジーなど最先端の研究分野に応用されている。学術的に現在も重要視される理論だ。

 集会はホワイトノイズ解析を研究する数学者らが主催。これまでは欧州や米国で開催されることが多かったが、「そもそも確率論はアジアがリードしている分野。その分野で功績のある飛田先生の地元愛知でぜひ開催を」とシンガポールの数学者ルイス・チェンさんらの尽力で、県立大情報科学部のシィシィ博士を企画者に開催が決まった。

 飛田さんは「数学は今、新しい発展が期待できる時代に入った。あらゆる分野から数学が必要とされている。若い世代に興味を持ってほしい」と訴えた。

(2013年1月11日 中日新聞朝刊市民版より)

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