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中日新聞掲載の大学記事

2013.01.10

市立大生が「社診展」 日常撮って角度変え紹介 地下鉄本陣駅

■「大量の放置自転車 使い捨て化の象徴」 作品に解説添え

 日常の何げない風景も、見方を変えると現代社会が抱える問題やちょっとした面白さが見えてくる。そんな写真を集めた「社診展」が9日、名古屋市中村区の地下鉄本陣駅構内のギャラリーで始まった。ノンアルコール飲料が大々的に売られているけど、誰でも飲んでいいの?大量の放置自転車は、物の使い捨て化の象徴−。作品12点が、解説とともに展示され、見る者に訴えかけてくる。(多園尚樹)

 撮影したのは、市立大大学院人間文化研究科の浜本篤史准教授(社会学)のゼミに所属する2〜4年生の男女8人。

 4年の田中亮さん(22)は、何枚もの警告シールが貼られた放置自転車のハンドルのアップ写真を撮影した。街中でよく見る光景だが、「高価なはずの自転車が、まるで使い捨てのようになっている」と田中さんはいぶかる。

 英国留学中、くすりと笑える観光地の看板を撮影したのは、4年の今枝里奈さん(21)。英語の案内文の脇に5カ国語で訳文が記されているが、日本語は「都市の最もよい高レベル眺め」と意味が通じない。「国際化の波に遅れないようにと急いで多言語表記にするケースが増えているが、間違いが少なくない」とシニカルに見つめる。

 活動は、社会や物事に興味を持つ習慣を身に付けてほしいと、浜本准教授が3年前からゼミ生の課題にしている。毎年、大学祭で展示してきたが、幅広い世代の人に知ってもらうため、初めて学外で展示する。

 活動を通じ、「物事を単純に見るのでなく、裏に何かあるのではと考えたり疑う癖が付いた」と4年小林大祐さん(21)。4年竹内梓さん(22)は「ちょっと違った見方とか裏側に気付いてもらうきっかけになれば」と来場者に呼び掛ける。

 展示スケジュールは、14日までが本陣駅で、16〜21日が星ケ丘駅(いずれも午前9時〜午後7時)。23〜28日は桜山商店街(昭和区桜山町)で展示される。

(2013年1月10日 中日新聞朝刊市民版より)

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