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中日新聞掲載の大学記事

2012.12.28

肥満 小魚で実験素早く 三重大チームが新研究法 透明な体で識別 新薬開発 後押し

 遺伝子操作で生み出された無色透明な小魚を使い、肥満研究の動物実験のスピードを飛躍的に上げる手法を、三重大大学院医学系研究科の田中利男教授(薬理学)の研究チームが開発した。マウスなど哺乳類を使った従来の実験に比べ、期間や費用を大幅に削減できる。米国の電子学術誌「プロスワン」に27日、掲載された。

 小魚は三重大が新たな実験動物として開発した「ゼブラフィッシュ」の変異種。コイ科の熱帯魚で、本来あるしま模様がなく、色素がないため内臓が透けて見える。

 研究チームは、肥満の原因となる食事の過剰摂取のメカニズムを調べ、食欲抑制薬の効き目や食欲をつかさどる遺伝子が、人間とゼブラフィッシュとでほぼ同じことに着目。

 発光する色素で染めたプランクトンをゼブラフィッシュに与えると、腹部の発光度合いで実際に食べたプランクトン量が比較でき、食欲を制御する新薬の効能や遺伝子を組み換えた影響が簡単に識別できる。

 文庫本ほどの大きさの検査キットで100匹の検体を調べることができ、マウスで半年かかる研究データが1週間で判明する。

 田中教授は「循環器疾患を引き起こす肥満は、世界でも深刻な問題。この手法により、肥満を防ぐ新薬開発のスピードが大幅に上がることにつながる」と話す。

(2012年12月28日 中日新聞朝刊24面より)

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