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中日新聞掲載の大学記事

2008.09.05

春以上のドラマ熱く 愛知大学野球秋季リーグあす開幕

 まるで映画か漫画のようなドラマだった。今年の愛知大学野球春季リーグ1部の首位攻防戦。中部大が4連覇を狙う愛院大にあとアウト一つまで追い詰められながら、小川の逆転サヨナラ2ランで踏みとどまった。その勢いで次戦も勝ち、創部43年目で悲願の初優勝を果たした。

 創設60年目を迎えた愛知大学野球は、今年プロデビューした山内(中日=名城大出)や長谷部(楽天=愛工大出)をはじめ、多くの人材を輩出。中部だけでなく、全国の高校球児らが新たな飛躍を目指して集う舞台だけに、目の肥えた野球ファンもうならせる好プレーや、一球ごとに緊張感が漂う試合展開を楽しめる。

 6日に開幕する秋季リーグも興味は尽きない。個性派がそろう中部大の連覇か、愛院大のリベンジか。4季ぶりに1部昇格した名城大を含め、6校の力は例年以上に拮抗(きっこう)している。2部以下も伝統校と新興校との力比べや、全国唯一の女子チームの奮闘など見どころは多い。(鈴木智行)

◇1部は混戦必至

 連覇を狙う中部大は、春の最優秀選手の右腕小笠原と、全日本選手権で好投した左腕金丸の両輪が頼り。立林、小西らの主軸は勝負強く、足を絡めた攻撃も得意だが、3割打者が不在で調子の波が心配。1年の小坂、蟹江ら新戦力に期待がかかる。

 あと一歩で4連覇を逃した愛院大。2年生右腕小川は春に入学からの連勝が16で止まったが、球威と変化球の切れは依然リーグ随一だ。春の首位打者若山と大野、前田ら好打者がそろう中、本田主将ら不調だった主軸が奮起できるか。

 愛産大は社会人野球で活躍した青山監督の下、春は1部昇格2季目で3位に躍進。マウンド度胸がいい寺田、140キロ台の直球が光る井田の両右腕が安定感抜群なだけに、俊足巧打の梅田主将が引っ張る打線次第でさらに上を狙える。

 昨秋まで3季連続2位ながら春は降格の危機に陥った中京大は、右肩痛から本格復帰していきなり最優秀防御率賞に輝いた右腕小椋に救われた。梶田主将ら他の故障者も復帰する秋は、優勝争いの主役に浮上する可能性がある。

 PL学園高の名将だった中村監督率いる名商大は、春に96回1/3を投げて敢闘賞に選ばれた右下手投げの水野が大黒柱。1年生右腕の市川、上野らが続き、やや非力さがみられた打線に上積みがあれば、台風の目になりうる存在だ。

 愛工大との入れ替え戦を制して昇格した名城大も、2006年春に1部優勝しているだけに地力がある。春に2部で5勝無敗の阿部、防御率0・26だった鈴木の両右腕ら投手陣は充実し、木全や坂口らの主軸打者はチャンスに強い。

◇5部も要注目 2校がオープン参加 中京女子大の初勝利は

 中京女子大の存在で、全国の注目を集めている5部。この秋は2校がオープン参加し、さらに熱くなる。

 愛知新城大谷大は、少年野球の強豪を率いていた荒木監督の下で腕を磨く1年生ばかりのチーム。愛知みずほ大は昨春、高校野球経験者を中心に野球部を発足させ、初の公式戦に挑む。

 中京女子大は、今春で連敗記録を36にしてしまったが、2−4と勝利に肉薄した試合もあった。新たなライバルとしのぎを削る中で、初勝利を挙げられるか。

◇8月にプロ初勝利 清水昭信投手(名城大出身)悲喜、仲間と味わう

 高校卒業後は会社員をやっていたのですが、高校時代の野球部のコーチに勧められ、愛知大学リーグでプレーする道を選びました。今の自分があるのも、あのときのコーチの勧めがあったからこそと思っています。

 大学では2部リーグと1部の両方でプレーすることができました。昇格したときの喜びだけでなく、降格の悔しさも仲間と味わったことが、いい経験になりました。全国選手権にも出場しましたが、愛知のレベルは関東や関西に負けていないと思います。選手の皆さん、胸を張ってプレーしてください。

 愛大リーグ  
 1949年に7大学でスタート。当初は愛知県鳴海町(現名古屋市緑区)の鳴海球場を主会場としたが、廃止に伴って瑞穂球場に移した。2006年秋には全国初の大学女子チームとして中京女子大が加わった。単一県内で構成する全国唯一のリーグで、5部にオープン参加する2校を含めた加盟数29は全国最多。1−5部とも春と秋に勝ち点方式のリーグ戦を開催。同一校に2戦先勝すると勝ち点1を得る。入れ替え戦は上、下部2校ずつで実施。春の優勝校は全日本選手権に出場し、秋の上位2校は明治神宮大会の切符を懸けた代表決定戦に進む。

(2008年9月5日 中日新聞朝刊31面より)
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