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中日新聞掲載の大学記事

2008.09.02

病気に強い野菜期待 ウイルス感染の仕組み解明 名大大学院教授ら発表

 植物にウイルス性の病気が発生するメカニズムを、米ロックフェラー大のナムハイ・チュア教授、名古屋大大学院の町田泰則教授、中部大の町田千代子教授のグループが、アブラナ科のモデル植物のシロイヌナズナで解明した。応用すれば、病気に強い穀物や野菜などの植物を生産できるという。

 町田教授らはこれまでの研究から、植物が葉の形をつくる際、AS1、AS2という二種類の遺伝子が働いていることを解明。この二つの遺伝子がそれぞれつくるタンパク質が結合し、正常な形の葉ができる。

 グループは葉がウイルスに感染した際、ウイルス特有のベータC1と呼ばれる遺伝子が働いている点に注目。実験により、ベータC1が多数のタンパク質を合成し、AS1に結びついて正常な葉の形成を阻害していることを突き止めた。感染した葉は、黄色化やわん曲が進んで成長しなくなり、さらにウイルス感染から守る遺伝子の働きが抑えられることが判明した。

 今回の研究対象となったのは、トマト黄化葉巻病ウイルスで、トマトに多く見られる。中国ではトマトに百億円近い被害が出ており、日本でも西日本を中心に感染が増えているという。町田教授は「ベータC1のタンパク質と結合しないようAS1を改良すれば、ウイルスによる病気を防ぐことができる」と話している。

 成果は一日、米科学誌「ジーンズ・アンド・デベロップメント(電子版)」に掲載された。

(2008年9月2日 中日新聞夕刊10面より)
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