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中日新聞掲載の大学記事

2012.09.06

心筋梗塞の進行 妨げるホルモン 名大教授らブタ実験で発見

 年間25万人が発症し、そのうち3割が死亡する心筋梗塞の進行を妨げるホルモンの働きを、名古屋大大学院医学系研究科の大内乗有(のりゆき)教授らのチームが、マウスとブタの実験で発見した。結果は、米科学誌「サーキュレーション」電子版に掲載した。

 大内教授らは、心筋梗塞を発症すると心臓から放出量が増加するヒトのホルモン「FSTL1」に着目。マウスを2つのグループに分け、一方にだけホルモンを大量に投与した。

 すべてのマウスの心臓の冠動脈を縛って心筋梗塞状態にし、ホルモンを投与していないグループと24時間後に、組織が死んだ部分の大きさを比較した。投与したグループは、投与しないグループの半分ほどの大きさですんだ。心筋梗塞になった直後にホルモンを投与した場合でも、6割の大きさにとどまった。ブタで行った同様の実験でも、同様の結果だった。

 チームは、ホルモンが心筋細胞で細胞死を抑える因子を活発にし、炎症や細胞死により梗塞を進行させる因子を抑制していると結論づけた。

 心筋梗塞を含む心臓病は、日本人の死因でがんに次いで多い。梗塞部分が小さいほど、心不全になりにくく運動機能が維持できる。大内教授は「ブタでも効果が証明され、ヒトへの応用に早くつなげたい。今後ホルモンの分析を進め、より効果の高い治療薬の開発をめざしていきたい」と話した。

(2012年9月6日 中日新聞朝刊2面より)
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