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中日新聞掲載の大学記事

2012.03.30

「うつ」防ぐタンパク質 名城大グループ発見

■脳内の情報伝達調整

 うつ病を抑える作用があるタンパク質を、名城大大学院薬学研究科の鍋島俊隆教授や毛利彰宏研究員らのグループがマウスを使った実験で発見した。うつ病治療薬の開発につながる可能性がある。28日発行の米脳科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」で発表した。

 脳の神経細胞は情報を伝達する際にセロトニンと呼ばれる神経伝達物質をやりとりする。うつ病患者はそのやりとりに異常があり、情報伝達がうまくいかなくなっている場合があると考えられている。

 グループは、脳の神経細胞内にあるタンパク質「MAGE−D1」に着目。このタンパク質を作れないように遺伝子操作したマウスを観察すると、活発な動きをしないうつ状態になった。

 マウスの神経細胞は、タンパク質がなくなったことで、セロトニンを必要以上に掃除機のように吸い込んでいた。このため、正常に情報伝達ができなくなった。

 タンパク質は、セロトニンの吸引作用を調整する働きがあると分かった。タンパク質を補うことで、新たな治療薬ができる可能性がある。毛利研究員は「タンパク質の量の変化は血液中にも表れる。血液検査でうつ病診断が可能になるかもしれない」と話している。

 厚生労働省によると、うつ病の患者は2008年の統計で100万人を超えた。

(2012年3月30日 中日新聞朝刊29面より)
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