愛院大が名城大に４−２で勝ち、勝ち点を４に伸ばして４季連続４３度目の優勝を決めた。愛院大は明治神宮野球大会（１１月２３日から５日間・神宮）の中部地区代表権を争う「東海・北陸・愛知三連盟王座決定戦」（３０日から３日間・瑞穂）に出場する。中部大は名商大に延長１０回、３−２で競り勝ち、勝ち点２とした。

■「あくまで通過点」笑顔なし

　優勝決定の瞬間も喜ぶそぶりはない。胴上げもしない。優勝どころか、試合に勝ったようにすら見えないナインの厳しい表情が、愛院大の強さを物語っていた。「通過点ですからね。王座決定戦で勝たないと意味がないので」。当然という顔つきで伊藤孝真総監督（５３）は話した。

　今季を象徴するような厳しい戦いだった。先制、中押しと加点して４点リードで９回を迎えながら失策に端を発して２失点。最後も一打同点の場面まで追い上げられた。「全然、喜べるレベルじゃない」。中堅・古屋主将の口をついて出るのは反省の弁ばかり。だが、それは高い次元で勝利を追い求めている証しでもある。

　今春は開幕から９連勝するなど独走で頂点まで駆け上がった。その勢いのまま挑んだ全日本大学野球選手権では強豪の東北福祉大などに勝って、８強に進出。全国で勝つ喜びも厳しさも知ったが、主力にけがが続いた今秋は苦戦が続いた。

　ここまで２連勝で奪った勝ち点はない。攻守ともに万全の優勝ではなかった。「一生懸命やっている。でも、打てなかったり、エラーが多かったりで考えることが多すぎた。リセットできなかった」と古屋。だが、練習量に裏打ちされた自信が揺らぐことはない。勝っても負けても、試合後は大学に戻って練習した。チーム内の競争で培った勝負強さは大きな武器となった。

　「また、一からやり直したい。一段と練習して、状態を上げていきたい」と伊藤総監督。全チームから勝ち点を挙げる完全優勝の目標もまだある。頂点に立っても、手綱は少しも緩めない。先を見据える王者らしい優勝だった。　（麻生和男）

■王座決定戦へ前進　中部大

　中部大は１０回に３番・清水の勝ち越し本塁打で勝負を決めた。清水は３回の自身の失策が失点につながっただけに、「自分のせいで負けそうだった。気持ちだけで打った」と安堵（あんど）した様子。この勝利で勝ち点２として、王座決定戦に出場できる２位を狙える位置に浮上。善久監督は「勝つと負けるとでは大違い。大きな勝利」と喜んだ。


▽３回戦（愛院大２勝１敗）
名城大　００００００００２―２
愛院大　００１０２１００ｘ―４

▽３回戦（中部大２勝１敗）
中部大　１００００００１０１―３
名商大　００１０００１０００―２
（延長１０回）
本塁打清水（部）

（2011年10月11日　中日スポーツ7面より）