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2011.03.10
陸上男子長距離 中京大 山下洸 NTN入り
■実業団から世界へ羽ばたけ!!
中京大(愛知)の陸上男子長距離のエース山下洸(みなと、22)が今春、NTN(三重)に入社する。山下は昨年の日本学生選手権を制した3000メートル障害だけでなく、マラソン挑戦にも意欲的。1983(昭和58)年のびわ湖毎日マラソンを勝った川口孝志郎監督(56)の教えを胸に、実業団へ、そして世界へと船出する。
■1年目から駅伝に
川口監督が07年春に就任以来、手塩にかけた素材が、いよいよ大舞台へと駆け上がる。「1年目から駅伝のメンバーに入って、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の入賞に貢献する走りができるよう、力を付けたい」。山下の心は熱く燃えている。
山下が実業団入りを志したのは大学2年の時。初めて出場した日本学生選手権3000メートル障害で9位になり、学生のトップレベルを体感した。ところが同選手権直後に右足を疲労骨折し、中京大が10年ぶりに出場権を得た11月の全日本大学駅伝を無念の欠場。「肝心の駅伝で走れなくて…」。失意の中でテレビ観戦した翌年正月のニューイヤー駅伝は、優勝した富士通など3チームがゴール寸前までつばぜり合いを繰り広げた。「ここで走りたい。ニューイヤーで上位争いをするチームに行きたい」。大激戦を見て山下の夢は固まった。
夢を定めてからは成長一途。一昨年の日本学生選手権3000メートル障害で3位。全日本大学駅伝では1区を務めた。昨年は、ついに日本学生選手権3000メートル障害を制覇。10月の出雲駅伝でも1区11位と関東の大学に引けを取らない結果を残した。一連の成績が中京大OBのNTN逵中(つじなか)監督の目に留まり、入社が決まった。「(実力者が多い)関東に勝ちたいという気持ちでずっとやってきている。東海の大学出身選手でもできるというところを見せたい」。山下は実業団に入っても反骨心は忘れないつもりだ。
■将来は日本代表も
川口監督は就任後、原田恵輔(トヨタ紡織)ら3人を実業団に送り込んでいるが、1年生から指導して実業団入りさせるのは山下が最初だ。川口監督は「スピードがあって頑張りがきく。練習に前向きで、強くなる要素を持っている」と評価。大学時代は基礎体力の強化を重視したこともあり「鍛えればもっと伸びる」と伸びしろを示唆し、「うまくいけば日の丸も付けられる。ボクの記録を全部抜いてほしい」と“師匠超え”を願う。
NTNには3000メートル障害で日本トップ級の実力を持つ梅枝、日本学生選手権4連覇の菊池が在籍する。山下は「NTNにはすごい先輩がいるし、3000メートル障害の伝統がある。そこでやるからにはしっかり結果を出したい」と意気込む。3000メートル障害からスタートし、将来はマラソン出場も視野に入れる山下。川口監督の背中を追い、豊田のキャンパスから巣立つ。 (斎藤正和)
■岩水の走りがきっかけ
山下が憧れるのは、3000メートル障害の日本記録保持者である岩水嘉孝(富士通)。中学3年の時に岩水が日本記録をつくった03年世界選手権(パリ)のレースを見て同種目に興味を持ち、高校入学直後に始めたという。山下は8月開幕の世界選手権(韓国・大邱)選考会を兼ねる6月の日本選手権出場を当面の目標に掲げ、「将来的には、世界選手権を狙えるレベルの選手になりたい」と誓う。
■日本学生選手権3000メートル障害制覇
山下洸(やました・みなと) 1988(昭和63)年11月15日、静岡県富士市生まれの22歳。169センチ、54キロ。愛知・豊正中2年の時に陸上を始める。名古屋高3年の時の東海高校総体3000メートル障害で7位。中京大では3年時に全日本大学駅伝1区区間23位、4年時に同21位になった。
(写真)川口監督(上)にストレッチを手伝ってもらう中京大・山下。川口監督も認める素質を、NTNで開花させる=愛知県豊田市の中京大で
(2011年3月10日 中日スポーツ10面より)
中京大(愛知)の陸上男子長距離のエース山下洸(みなと、22)が今春、NTN(三重)に入社する。山下は昨年の日本学生選手権を制した3000メートル障害だけでなく、マラソン挑戦にも意欲的。1983(昭和58)年のびわ湖毎日マラソンを勝った川口孝志郎監督(56)の教えを胸に、実業団へ、そして世界へと船出する。
■1年目から駅伝に
川口監督が07年春に就任以来、手塩にかけた素材が、いよいよ大舞台へと駆け上がる。「1年目から駅伝のメンバーに入って、全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の入賞に貢献する走りができるよう、力を付けたい」。山下の心は熱く燃えている。
山下が実業団入りを志したのは大学2年の時。初めて出場した日本学生選手権3000メートル障害で9位になり、学生のトップレベルを体感した。ところが同選手権直後に右足を疲労骨折し、中京大が10年ぶりに出場権を得た11月の全日本大学駅伝を無念の欠場。「肝心の駅伝で走れなくて…」。失意の中でテレビ観戦した翌年正月のニューイヤー駅伝は、優勝した富士通など3チームがゴール寸前までつばぜり合いを繰り広げた。「ここで走りたい。ニューイヤーで上位争いをするチームに行きたい」。大激戦を見て山下の夢は固まった。
夢を定めてからは成長一途。一昨年の日本学生選手権3000メートル障害で3位。全日本大学駅伝では1区を務めた。昨年は、ついに日本学生選手権3000メートル障害を制覇。10月の出雲駅伝でも1区11位と関東の大学に引けを取らない結果を残した。一連の成績が中京大OBのNTN逵中(つじなか)監督の目に留まり、入社が決まった。「(実力者が多い)関東に勝ちたいという気持ちでずっとやってきている。東海の大学出身選手でもできるというところを見せたい」。山下は実業団に入っても反骨心は忘れないつもりだ。
■将来は日本代表も
川口監督は就任後、原田恵輔(トヨタ紡織)ら3人を実業団に送り込んでいるが、1年生から指導して実業団入りさせるのは山下が最初だ。川口監督は「スピードがあって頑張りがきく。練習に前向きで、強くなる要素を持っている」と評価。大学時代は基礎体力の強化を重視したこともあり「鍛えればもっと伸びる」と伸びしろを示唆し、「うまくいけば日の丸も付けられる。ボクの記録を全部抜いてほしい」と“師匠超え”を願う。
NTNには3000メートル障害で日本トップ級の実力を持つ梅枝、日本学生選手権4連覇の菊池が在籍する。山下は「NTNにはすごい先輩がいるし、3000メートル障害の伝統がある。そこでやるからにはしっかり結果を出したい」と意気込む。3000メートル障害からスタートし、将来はマラソン出場も視野に入れる山下。川口監督の背中を追い、豊田のキャンパスから巣立つ。 (斎藤正和)
■岩水の走りがきっかけ
山下が憧れるのは、3000メートル障害の日本記録保持者である岩水嘉孝(富士通)。中学3年の時に岩水が日本記録をつくった03年世界選手権(パリ)のレースを見て同種目に興味を持ち、高校入学直後に始めたという。山下は8月開幕の世界選手権(韓国・大邱)選考会を兼ねる6月の日本選手権出場を当面の目標に掲げ、「将来的には、世界選手権を狙えるレベルの選手になりたい」と誓う。
■日本学生選手権3000メートル障害制覇
山下洸(やました・みなと) 1988(昭和63)年11月15日、静岡県富士市生まれの22歳。169センチ、54キロ。愛知・豊正中2年の時に陸上を始める。名古屋高3年の時の東海高校総体3000メートル障害で7位。中京大では3年時に全日本大学駅伝1区区間23位、4年時に同21位になった。
(写真)川口監督(上)にストレッチを手伝ってもらう中京大・山下。川口監督も認める素質を、NTNで開花させる=愛知県豊田市の中京大で
(2011年3月10日 中日スポーツ10面より)