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学生活動  2024.06.22

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割れ窓理論に着目 岐阜県道ポイ捨て激減 朝日大教授の発案で学生らが植栽活動

キャンパス前の道路沿いに花を植える学生=瑞穂市穂積で

キャンパス前の道路沿いに花を植える学生=瑞穂市穂積で

 瑞穂市穂積の朝日大に面した県道23号で、ごみのポイ捨てがほとんどないエリアがある。犯罪抑止につながる「割れ窓理論」に着目し、学生らがきれいな花を植えたためだ。ごみがなくなっただけでなく、ほかにも思わぬ効果があったようで-。(菅谷仁志)

■横断マナー向上の波及効果も

 今月上旬、キャンパス東側の歩道と車道の間にある植栽約400メートルで、学生ら約120人がマリーゴールドやサルビア、ベゴニアなど色とりどりの1000株を植えていた。車道反対側の植栽は雑草が生い茂り、ごみが見え隠れしている。

 「ほかの場所に比べて花が咲いている場所はごみが少ないです」と、植栽活動を続けてきた法学部2年の児玉樹斗(たつと)さん(19)。「近所の人からも『きれいだね』『ありがとう』と言ってもらえた」と笑顔を見せた。

 植栽活動は、防犯を目的に朝日大の大野正博教授(刑事法)が発案し、法学部生らでつくる自主防犯ボランティア団体「めぐる」とコロナ禍の時期に始めた。大野教授が注目したのが割れ窓理論だ。

 割れた窓ガラスを1枚放置していると、誰も地域に関心を持っていないというサインになり、やがてほかの窓ガラスも割られ、治安が悪化するという理論。米犯罪学者の故ジョージ・ケリングさんが1980年代に提唱した。ニューヨーク市が94年、割れ窓の修理や落書きの取り締まりなどを進めると、犯罪が大幅に減ったとされる。

 大野教授らは県の許可を得て道路の清掃活動などを実施。雑草は県が刈り、その後で花を植えている。昨年からは本巣ロータリークラブも協力。年3~4回の植え替えと、水やりなどを続けているという。今月上旬の植栽活動では「めぐる」の10人だけでなく、運動部などの110人も協力した。

 効果はてきめんだ。大野教授によると、ごみがなくなっただけでなく「学生が横断歩道以外を渡ることも少なくなった」という。以前はガードパイプをまたいで横断する学生がいた。いまは横断歩道以外を渡ろうとすれば植栽に足を踏み入れることになり、心理的に抵抗があるとみる。

 「めぐる」代表の児玉さんは「地域の人はここを通ると笑顔になる。取り組みが広がってほしい」と話している。

(2024年6月22日 中日新聞朝刊岐阜近郊版より)

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