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中日新聞掲載の大学記事

2010.08.29

12世紀の塔に壁画 名芸大生ら 仏でフレスコ画描く

 【オータン(フランス中部)=清水俊郎】名古屋芸術大の学生6人と卒業生2人が24〜30日、当地に滞在し、12世紀の塔に新たな壁画を描いている同大名誉教授で画家の高橋久雄さん(73)の指導を受けている。

 中世のフレスコ画の技法の研修。27日は地下足袋を履いて塔内部に組まれた高さ8メートルの足場に上がり、高橋さんが天井に描いた数百の月桂(げっけい)樹の葉の紋様に絵筆で次々と緑色を塗り重ねた。

 下塗りのしっくいの水気が乾かぬうちに筆を入れないと色が定着しないため、1時間近く天井を見上げたまま、作業を続けることも。学生のうち大学院の中村朋恵さん(22)は「首も腕も痛いけれど、本物の塔に絵を描く経験を自分の体に覚え込ませたい」。4年生の小田絵美さん(22)は「これから何十年も何百年も残る壁画の制作に参加できることを誇りに思う」とほほ笑んだ。

 高橋さんは40年前に来仏し、壁画修復の経験を積み重ねた後、自ら新たな壁画を創作するためオータン市内の塔を購入。仏政府から歴史的建造物に手を入れる異例の認可を得て、今年6月に筆入れ式をした。完成まで数年かかる予定。「自分の経験や技法を若い人たちに伝えることも私の願望のひとつ」と喜んでいる。

(写真)高橋久雄さん(左)と中世の塔の天井にフレスコ画を描く名古屋芸大の学生ら=フランス中部オータンで(清水俊郎撮影)

(2010年8月29日 中日新聞朝刊県内版より)
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