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中日新聞掲載の大学記事

2008.05.26

仏の大聖堂壁画 名芸大生ら模写 

日本画法駆使し作品制作 来月パリユネスコ本部で披露

 名古屋芸術大美術学部(北名古屋市)日本画コースの学生らが、フランス・ブルゴーニュ地方の大聖堂壁画の模写作品を、日本画技法を駆使して制作した。今年は日仏修好通商条約の締結150周年に当たり、作品は6月5日から、パリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で披露される。 (森村陽子)

 模写したのは、サン・バンサン大聖堂の壁画「聖母の御眠り」。マリア臨終の床に集まった12使徒を描いた15世紀のフレスコ画で、同大の高橋久雄名誉教授(71)が1984年から13年かけて修復。その縁で今回の模写が実現した。

 模写作品は、周囲の赤いアーチ型の枠を含めて幅約3・2メートル、高さ2・6メートルで、実物の95%の大きさ。作業は昨年6月ごろから始まり、8月下旬には教員や学生ら12人が、写真から下絵をおこした和紙を現地に持って行って岩絵の具で色づけ。帰国後は写真や記憶を頼りに細部を仕上げた。

 学生らを悩ませたのは、画材による質感の違いと、500年以上の時を経た“古色”の表現方法。参加した赤井恵子さん(23)は「漆喰(しっくい)に描かれたフレスコ画の雰囲気を出すため、日本画の顔料に混ぜる水の量を減らすなど工夫した。色がはげた様子を表現するのも大変だった」。アーチは同大の講師が作り、日本画コースの学生らが着色した。

 模写作品は、ユネスコ本部に1週間展示された後、大聖堂のあるシャロン市を経て、埼玉県の川越市立美術館や新宿文化センター、名古屋芸大などでも展示される。

 礒田衣里さん(21)は「1年間頑張って描いてきたので、多くの人に見てほしい」。担当した日本画コースの白井久義教授は「日仏の芸術は互いに影響を与えて発展してきた。節目の年の文化交流に役立てば」と期待している。

(2008年5月26 中日新聞朝刊県内版より)
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