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中日新聞掲載の大学記事

学生活動  2021.07.17

出会い消えた学生たちよ 集えアプリで コロナで苦境の喫茶店へ

喫茶店向け新サービスについて話し合う豊橋技術科学大の籔内さん(右から2人目)ら=愛知県豊橋市で

喫茶店向け新サービスについて話し合う豊橋技術科学大の籔内さん(右から2人目)ら=愛知県豊橋市で

■豊橋技科大生開発 19店参加

 新型コロナウイルスの影響で苦境にある喫茶店を盛り上げようと、IT起業を目指す学生らが立ち上がった。豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)の有志が喫茶店を集合場所に指定し、共通の話題を持つ学生らが交流できるスマートフォンのアプリを開発。学生らは「喫茶文化が根付く愛知で必要なサービスになってほしい」と話す。(酒井博章)

 先月17日にサービスを始めた「Caffet(カフェット)」は、いずれも豊橋技科大4年の籔内龍介さん(21)、蕗谷郁弥(ふきたにいくみ)さん(22)、柴高誠季(しばたかせいき)さん(21)の3人が中心で考案した。

 アプリの利用者は、喫茶店を指定し、趣味や勉強が共通する仲間を募る投稿を作成すると、自動的に席が予約される。他のアプリ利用者が呼び掛けに応じれば、間隔を取りながら店でゆったり交流できる。

 友人やサークル仲間など顔なじみ同士や、知らない人同士が趣味を通じて集まる会合にも利用できる。

 料金の支払いは、事前に購入したアプリ上の共通コーヒーチケット(1杯約400円)を使う。店に置いたQRコードの紙をスマホのカメラ機能で読み取れば決済できる。

 考案のきっかけは、コロナで学生同士の出会いがなくなったこと。籔内さんは山口県の高等専門学校から昨年、豊橋技科大の3年に編入。豊橋市で下宿しながら、オンライン授業でキャンパスに行く機会はほとんどなく、友人ができない状態が続いた。ある時、勉強のため近所の喫茶店を訪れると、客足が遠のき、がらんとした店の実情を目の当たりにした。

 籔内さんは「コロナ禍でも趣味や共通の話題で盛り上がり、リアル(現実世界)のつながりを求める若者は多い。喫茶店を活用できないか」と思案。学内の起業体験イベントなどを通じ、アプリ開発を考えていたエンジニア志望の学生と知り合い、サービスを形にした。

 サービスに参加する喫茶店は手数料がかかるが、新規顧客の開拓につなげようと、市内の19店舗が参加している。

 参加する同市南大清水町の喫茶店「カーザ・ビヤンカ」の大木哲子さん(60)は「コロナ前後で売り上げは半減した」と曇り顔。従業員の出勤時間を抑えながら経営を続けている。「個人の喫茶店は宣伝費をかけられず若者に知ってもらえない。アプリで少しでも客足が戻ってほしい」と願う。

 アプリのダウンロード数はまだ120件ほどだが、籔内さんらは会員制交流サイト(SNS)などの口コミで利用者数アップを図っている。喫茶店側の参加も呼び掛け、1年後には県内全域にサービスを拡大したい考え。専用アプリは「App Store」などで無料配信している。

(2021年7月17日 中日新聞夕刊7面より)

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