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お知らせ  2021.06.27

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職場接種の壁 「ともに越える」 中部の中小企業・大学

接種会場となる学生食堂で打ち合わせをする市職員(手前左)と大学職員=愛知県東海市の星城大で

接種会場となる学生食堂で打ち合わせをする市職員(手前左)と大学職員=愛知県東海市の星城大で

■1000人 会場 運営 業界で連携

 各地の大企業や大学などで進む新型コロナウイルスワクチンの職場接種。規模を1000人以上とし、医療人材や会場を自前で確保する必要があるため中小零細企業にはハードルが高い。25日には政府が申請受け付けを一時停止し、混乱が広がる。そうした中、中部各地では地域の企業や団体などが連携して実施要件をクリアし、いち早く準備に乗り出したケースもある。

 「やっと安心できる」。岐阜県下呂市の下呂建設業協会の理事長、島秀太郎さん(54)は胸をなで下ろす。会員企業23社の社員や家族らに加え、協力会社や関係する金融機関にまで広げて1000人を確保。厚生労働省からワクチンを送る旨のメールが届いたという。

 地元は昨年7月の豪雨災害で国道などが崩壊し、復旧工事の真っ最中。感染の影響を受けないよう業界で結束することにした。7月10、11日に1回目の接種をする。業界の関係者で接種会場も運営するという。

 三重県菰野町の湯の山温泉では旅館などが協力し準備を進めている。対象は温泉協会の約10旅館と土産物屋などのスタッフとその家族。協会の西田太郎副会長(40)は「コロナ禍をともに乗り越えようと日ごろから連携を取っているのでスムーズにできた」と話す。

 名古屋市でコロナ禍の直撃を受けた「夜の街」。フィリピンパブなど接客業や飲食業の約50店舗が「名古屋日・比社交協会」を設立し職場接種を申請した。国の承認が下りたといい、7月10日に1回目を打つ。

 感染すれば働けなくなる恐れがあるとして、フィリピン人従業員らの危機感は高い。山田信会長は「地域の接種率が上がれば、街がにぎわいを取り戻すことにつながる」と期待する。

 福井県内では、県と協力して全7商工会議所と全13商工会に加盟する中小企業が共同で、職場接種を進める。530社の従業員計4万2000人が接種を希望しており、7月上旬に始める。県商工会連合会の担当者は「会員企業からは『少しでも早く接種したい』との声が多い」と話す。

 産官学が連携して職場接種を計画するのは愛知県東海市。東海商工会議所と市、星城大、日本福祉大東海キャンパス(いずれも同市)が参加する。対象は商議所会員の中小企業の従業員と市職員、両大の学生と教職員ら1万4000人に上る。

 会場は星城大で、夏休みに入る7月25日から9月17日に接種を行う。看護学部のある日本福祉大には、市が会場従事者としての協力を検討してもらう。

 星城大の担当者は「学生の接種をしたくても打ち手がいなかった。お互いに足りないところが補える」。商議所の担当者は「商議所だけでは従事者の手配などが難しかったので、ありがたい」と話している。

(2021年6月27日 中日新聞朝刊1面より)

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