HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 学生活動
学生活動 2018.12.17
この記事の関連大学
「地域に関わりながら役に立ちたい」 学生目線 駅前に活力 岐経大マイスター倶楽部 活動20年
岐阜県大垣駅前商店街の活性化を目指し、大垣市東外側町に拠点を置いて活動している岐阜経済大まちなか共同研究室の「マイスター倶楽部(クラブ)」が、今年で発足から20周年を迎えた。季節ごとの催しなど設立当初から続く事業に加え、市内の飲食店と協力した新たなプロジェクトも生まれ、学生ならではの視点を生かした活動を続けている。(服部桃)
12月初旬、同市内の大学構内の一室に、昼休み中の学生10人ほどが集まっていた。本年度のプロジェクトは「食育レストラン」「まちなかツーリズム」「商店街調査」「そうだ!大垣に行こう!」の4つ。半月後に控える中間報告会に向け、グループごとに準備状況を話し合った。
大垣駅前商店街の物件216件を対象に、広さや利用状況などを調べている商店街調査グループは、これまでの調査をまとめたスライドを検証していた。「このグラフはこうした方がいいんじゃない?」。物件の改装プランも、学生なりに考えているという。
■40人ほどが所属
マイスター倶楽部には1〜3年生を中心に40人ほどが所属する。4〜6月に地域の現状を調べ、12月ごろまで企画を実行し、年度末に活動報告をまとめる。学生たちが関心のある事柄を地域の課題と結びつけて研究題材とするため、前年度から引き継いだり、新規で始めたりするなど形態はさまざま。地元の店舗や行政などと共同で進める事業も多い。
今年、特に大きく展開してきたプロジェクトが、同市東外側町の老舗料亭「四鳥」と連携した「食育レストラン」。集まってくる中学生以下の子どもたちに食事を用意するだけでなく、調理師がコンブや煮干しからだしのとり方を指導。学生によるかつお節削りの実演もあった。みそ汁一つをとっても味が違い、子どもたちは「おいしい」と喜んだ。
スタートした当初は、商店街での子どもたちの居場所づくりが主な目的だったが、その後はよりたくさんの子どもたちに参加してもらおうと「食育」に重点を置いた。無料通信アプリ「LINE(ライン)」のアカウントを設けるなど広報にも力を入れる。3年の川合諒(りょう)さん(21)は「できれば西濃地域の全ての小中学生に関わってもらいたい」と目標を語る。
恒例行事も多い。大垣駅通りで毎月第1日曜日に開かれる「元気ハツラツ市」では運営スタッフとして走り回り、2月の駅前商店街の餅つき大会は地元と協力して実施。幼い頃に餅つきに参加し、大学生になって倶楽部の一員として運営に携わった学生もいた。卒業生で、学生たちを間近で見守るコーディネーターの小川尚紀さん(33)は「卒業後に地域で活躍するような仕事を選ぶ学生も多い」と話す。
■次々と成果出す
部の発足は1998年10月。中心市街地活性化法を含む「まちづくり三法」が制定されるなど、市街地活性化が注目されてきたころで、半年間の空き店舗対策モデル事業として始まった。学生たちは事業者に話を聞くなど調査し、駅前商店街の構成や店の特徴を盛り込んだ「夢マップ」を制作するなど次々と成果を出した。
事業に対する反響が大きく、地域から要望もあったことから、翌年以降も活動を継続。2003年には市街地を点字で地図化した「まちなか触図マップ」などの活動が評価されて内閣官房長官賞を受賞。06年には市と大垣商工会議所、市商店街振興組合連合会、大学の4者で協定を結び、協力関係を強固にした。
現在の代表は同大経済学部の菊本舞准教授(45)。10年ほど前に引き継いでから「地域に関わりながら役に立ちたい」「地元に帰ったときに地域づくりの担い手になりたい」との思いを抱いて倶楽部に入ってくる学生たちを見てきたという。
商店街など地域の関係者からは、活動の効果を認める声も聞く。「継続的に関わっていくことで、この街はまだ可能性があるという(関係者の)誇りにつながっていれば」と話す。
来春からは大学の名称が「岐阜協立大」になるなど、将来的には体制が変わっていく可能性もあるが「意欲のある学生がいる限り、地域との連携を進めるスタンスは変わらず大事にしていく」と強調した。
(2018年12月17日 中日新聞朝刊岐阜県版より)
12月初旬、同市内の大学構内の一室に、昼休み中の学生10人ほどが集まっていた。本年度のプロジェクトは「食育レストラン」「まちなかツーリズム」「商店街調査」「そうだ!大垣に行こう!」の4つ。半月後に控える中間報告会に向け、グループごとに準備状況を話し合った。
大垣駅前商店街の物件216件を対象に、広さや利用状況などを調べている商店街調査グループは、これまでの調査をまとめたスライドを検証していた。「このグラフはこうした方がいいんじゃない?」。物件の改装プランも、学生なりに考えているという。
■40人ほどが所属
マイスター倶楽部には1〜3年生を中心に40人ほどが所属する。4〜6月に地域の現状を調べ、12月ごろまで企画を実行し、年度末に活動報告をまとめる。学生たちが関心のある事柄を地域の課題と結びつけて研究題材とするため、前年度から引き継いだり、新規で始めたりするなど形態はさまざま。地元の店舗や行政などと共同で進める事業も多い。
今年、特に大きく展開してきたプロジェクトが、同市東外側町の老舗料亭「四鳥」と連携した「食育レストラン」。集まってくる中学生以下の子どもたちに食事を用意するだけでなく、調理師がコンブや煮干しからだしのとり方を指導。学生によるかつお節削りの実演もあった。みそ汁一つをとっても味が違い、子どもたちは「おいしい」と喜んだ。
スタートした当初は、商店街での子どもたちの居場所づくりが主な目的だったが、その後はよりたくさんの子どもたちに参加してもらおうと「食育」に重点を置いた。無料通信アプリ「LINE(ライン)」のアカウントを設けるなど広報にも力を入れる。3年の川合諒(りょう)さん(21)は「できれば西濃地域の全ての小中学生に関わってもらいたい」と目標を語る。
恒例行事も多い。大垣駅通りで毎月第1日曜日に開かれる「元気ハツラツ市」では運営スタッフとして走り回り、2月の駅前商店街の餅つき大会は地元と協力して実施。幼い頃に餅つきに参加し、大学生になって倶楽部の一員として運営に携わった学生もいた。卒業生で、学生たちを間近で見守るコーディネーターの小川尚紀さん(33)は「卒業後に地域で活躍するような仕事を選ぶ学生も多い」と話す。
■次々と成果出す
部の発足は1998年10月。中心市街地活性化法を含む「まちづくり三法」が制定されるなど、市街地活性化が注目されてきたころで、半年間の空き店舗対策モデル事業として始まった。学生たちは事業者に話を聞くなど調査し、駅前商店街の構成や店の特徴を盛り込んだ「夢マップ」を制作するなど次々と成果を出した。
事業に対する反響が大きく、地域から要望もあったことから、翌年以降も活動を継続。2003年には市街地を点字で地図化した「まちなか触図マップ」などの活動が評価されて内閣官房長官賞を受賞。06年には市と大垣商工会議所、市商店街振興組合連合会、大学の4者で協定を結び、協力関係を強固にした。
現在の代表は同大経済学部の菊本舞准教授(45)。10年ほど前に引き継いでから「地域に関わりながら役に立ちたい」「地元に帰ったときに地域づくりの担い手になりたい」との思いを抱いて倶楽部に入ってくる学生たちを見てきたという。
商店街など地域の関係者からは、活動の効果を認める声も聞く。「継続的に関わっていくことで、この街はまだ可能性があるという(関係者の)誇りにつながっていれば」と話す。
来春からは大学の名称が「岐阜協立大」になるなど、将来的には体制が変わっていく可能性もあるが「意欲のある学生がいる限り、地域との連携を進めるスタンスは変わらず大事にしていく」と強調した。
(2018年12月17日 中日新聞朝刊岐阜県版より)