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中日新聞掲載の大学記事

2017.02.27

名大にジェンダー図書館 4万冊 男女共同参画を加速 9月ごろ開館

 名古屋大(名古屋市千種区)が今秋、全国でも珍しいジェンダー(社会的性差)をテーマにした図書館を開設する。ジェンダー関連の書籍4万冊を所蔵し、国内の研究、教育拠点として活用する。このほか、男女共同参画センターの新設や女性管理職、研究者の積極登用など、女性が輝く大学へ向けアクセルを踏み込む。(坪井千隼)

 名大はこれまでも女性が活躍できる環境整備に力を入れており、2015年には国連の女性機関「UN Women」が、女性の地位向上に積極的な世界10大学の1つに選出している。

 ジェンダー問題は歴史、経済、社会、科学、医療など幅広い分野に及び、関連図書も膨大となる。国内の大学では、お茶の水女子大のジェンダー研究センターが専用書架を備えるなどしているが、多量の書籍や資料をまとめて閲読できる施設は少ない。

 関係者によると、名大が新たに設けるジェンダー図書館「名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリ」は鉄骨2階建て、延べ床面積840平方メートル。すでに着工しており、今年9月ごろに開館する予定だ。

 最大で4万冊を収蔵する図書施設のほか、ジェンダーの研究活動施設も入る。セミナー室やカフェ、展示コーナーなどを備え、研究だけでなく、ジェンダーについて広く情報発信する拠点としていく。

 このほか、近く男女共同参画センターを発足させ、女性の活躍を後押しする多くの施策を進めていきたい考え。具体的な目標として、現在、1割ほどの女性管理職の割合を3年間で2割以上へと引き上げる。女性限定の研究者公募をする一方、家庭と仕事を両立できるよう業務の軽減や、長時間労働の是正も図る。

 男女共同参画担当の束村博子副理事は「日本だけでなく、アジアや世界の男女共同参画をけん引していく大学を目指したい」と意気込みを話した。

 ジェンダー 生物学的な性差に対して、社会的、文化的に形成される男女差のこと。日本では中世ごろから「男は仕事、女は家庭」といった性的分業が定着していたが1980年代以降、女性の社会進出が進み、男女雇用機会均等法(85年)や、男女共同参画社会基本法(99年)などの制定につながった。現在でもジェンダーによる差別はなくなっておらず、大学など学問の世界では理系を中心に男女が対等に活躍できる研究体制の構築が課題となっている。

(2017年2月27日 中日新聞朝刊1面より)

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