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2016.12.16
コヒーシンの働き解明 名大グループ がん治療薬に期待
生命の遺伝情報が書き込まれている「染色体」の構成に重要な役割を果たしているとされるリング状のタンパク質「コヒーシン」の働きの一部を、名古屋大大学院理学研究科の西山朋子准教授らの研究グループが解明した。将来的にはコヒーシンの変異が原因とされる「コヒーシン病」などの治療に役立つことが期待される。成果は15日付欧州科学誌に掲載される。
染色体は細胞の核の中にあり、線状のDNAが畳み込まれた構造をしている「染色分体」2つが、結合してできている。この結合はコヒーシンの働きによると考えられているが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
研究グループは顕微鏡でDNAとコヒーシンの動きを詳しく観察。コヒーシンのリングの中を、線状のDNAが貫通しており、リングがDNAに沿って自由に動いていることをつきとめた。またコヒーシンのリングが、DNA2本を束ねるケースがあることも発見。このコヒーシンがDNAを束ねる現象が、染色分体を結合させる働きにつながっているという。
西山准教授は「コヒーシンの異常は、コヒーシン病だけでなく大腸がんなどとも関係がある可能性がある。研究は治療薬の開発にもつながるかもしれない」と話した。(坪井千隼)
(2016年12月16日 中日新聞朝刊20面より)
染色体は細胞の核の中にあり、線状のDNAが畳み込まれた構造をしている「染色分体」2つが、結合してできている。この結合はコヒーシンの働きによると考えられているが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
研究グループは顕微鏡でDNAとコヒーシンの動きを詳しく観察。コヒーシンのリングの中を、線状のDNAが貫通しており、リングがDNAに沿って自由に動いていることをつきとめた。またコヒーシンのリングが、DNA2本を束ねるケースがあることも発見。このコヒーシンがDNAを束ねる現象が、染色分体を結合させる働きにつながっているという。
西山准教授は「コヒーシンの異常は、コヒーシン病だけでなく大腸がんなどとも関係がある可能性がある。研究は治療薬の開発にもつながるかもしれない」と話した。(坪井千隼)
(2016年12月16日 中日新聞朝刊20面より)