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中日新聞掲載の大学記事

2016.04.22

アレルギー用煎餅 熊本に 愛知文教女子短大 支援へ学生が募金活動

 「ぱりまる」というそうだ。救援物資のパンや弁当が、食物アレルギーのため食べられない被災者のために作られた煎餅のこと。5年前の東日本大震災後、稲沢市の愛知文教女子短大の食物栄養専攻の学生らは、この「ぱりまる」をサークル名に掲げ、東北の被災地を支援してきた。「今度は、熊本の子どもたちを笑顔にしたい」。学内で募金を集め、煎餅を被災地に送る準備を始めた。(花井康子)

 「ぱりまる」は高浜市の授産所が作っていて、原材料は大豆、米粉、おから、砂糖、食塩などでアレルギーの元となる小麦粉や卵は使われていない。味はプレーン、黒糖、カレーの3種類ある。

 「募金にご協力お願いしまーす」。短大内の学食で、学生たちがメガホンで声を張り上げた。サークルのメンバー15人は18日から、昼休みに寄付を集めている。この善意で「ぱりまる」を作ってもらい、まずは計500袋(1袋20グラム入り)を熊本市内の病院などに送る予定だ。

 「物資が足りない中で、アレルギーのために食事制限のある子はもっとつらい。ぱりまるを食べて笑顔になってほしい」とメンバーの2年吉田あゆみさん(19)。看護師になってから短大で学ぶ2年の上野裕子さん(41)は「どんな状況でも食事は大切。私たちみんなで助けることができたらうれしい」。

 近年の調査では、食物アレルギーの子どもは増加傾向にあり、ゼロ歳児8%、1歳児9%、2歳児6%、小学生以上は約4・5%とされている。

 東日本大震災でも、「ぱりまる」は大活躍だった。学生らは岩手県陸前高田市の保育園9カ所に計1200袋を送った。被災した母親から「食べられるものがなく、おなかをすかせていた子どもが救われた」と感謝されたこともあった。

 副学長の安藤京子教授は「大勢の人がつらい思いをしている避難所生活の中で、自分だけアレルギー対応を、とはなかなか言えないと思う。サークルの学生たちの活動が、被災者への少しでも支えになることを願っている」と話した。

(2016年4月22日 中日新聞朝刊尾張版より)
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