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中日新聞掲載の大学記事

2016.02.10

ラグビー選手から審判へ 名経大1年 土屋幸大 W杯で笛を

 ラグビー選手から、レフェリーへの道を進む決意をした若者が名経大(愛知県犬山市)にいる。レフェリーで世界最高峰の舞台、W杯出場を夢見る土屋幸大(19)だ。コミュニケーションツールとして不可欠な英語能力を身に付けるため、11日から約7週間、ラグビーの本場でもある、ニュージーランドへ語学留学する。

■愛知県内最年少 18歳でB級格資取得

 土屋の目はレフェリーの姿にくぎ付けになった。「かっこいいな」。鳴海高でフルバックとして試合でプレーしていた時のことだ。小学生でいったん辞め、高校で再び競技を始めた。ルールを深く理解したいと思い始めると、レフェリーへの興味はさらに強くなった。

 実は名経大には50メートル6秒3の俊足とキック力を見込まれ、選手としてスポーツ推薦で入学していた。ただ入学した年はバックスの選手が多かったことは幸運だった。レフェリー志望を打ち明けられた同大ラグビー部の村瀬賢治副部長(46)の理解も大きかった。昨年5月からはレフェリー業を優先。コンタクト練習には加わらず、けが防止に努め、練習試合や県内の試合で経験を積んだ。

 若さと意欲を見込まれ、愛知県協会の推薦を受け、昨年6月、同県内で行われた関西協会の認定講習会に参加。県内最年少の18歳でB級資格を取得した。最近でこそレフェリー資格を取得する大学生も出始めたが、多くは社会人になってから取得を考える。土屋のようにレギュラー選手が高校生から、審判に強い関心を寄せる学生は珍しい。

 「ラグビーのレフェリーは他競技と違う。例えば反則を取る前に『(オフサイドラインから)下がって』などと言葉で伝え、円滑に試合をコントロールするのも重要な役割なんです」。土屋は目を輝かせて魅力を語る。

 当面の目標は「大学在学中に、花園(全国高校大会)で笛を吹くこと」。そのためにはまず愛知県協会の推薦を得て、B級の中でトップクラスと認められないといけない。5月に奈良県で行われる関西協会の認定講習会を目標に、英語能力を高める決意をした。

 「いずれは世界最高峰のW杯で笛を吹きたい」と土屋。国内のトップリーグでも多くの外国人選手がプレーしている。世界の舞台を目指すにはなおさら英語力は不可欠。

 留学先のニュージーランドでは、平日は朝から夕方まで英語を勉強し、帰宅するのも現地のホームステイ先。英語漬けの留学で世界へ羽ばたくつばさを手に入れる。 (伊東朋子)

■笛の音すでにプロ級

 レフェリーに必要な資質の一つに笛の音色もある。土屋は高校時代、よく自宅で笛の練習をした。というのも、先輩レフェリーから「河原で練習していたら通報されて警察に事情を聴かれた」と聞かされていたからだ。「両親からは『迷惑だ』としかられました」と土屋。しかし練習の甲斐あって、大学で初めて吹いたときにはすでにプロ級の音色を奏で、周囲を驚かせたという。

 ▼土屋幸大(つちや・ゆきひろ) 1996(平成8)年6月21日、名古屋市南区生まれの19歳。164センチ、68キロ。小学1年から名古屋ラグビースクールで競技を始める。中学では野球部だったが、鳴海高で再びラグビー部に。ポジションはフルバック。名経大法学部1年生。2015年6月、愛知県内最年少でB級資格取得。大学入学後、県内外の公式戦や練習試合でアシスタントレフェリーも含め、すでに68試合でレフェリーを務めている。

 ◆トップレフェリーへの道のり 公認レフェリーにはC級から始まって、B級、A1級、A級がある。C級取得者は関東、関西、九州の3地域の協会が認定講習会で公認されると、B級へ昇格。B級は各地域協会と各都道府県主催試合でレフェリーができるようになる。A1級はB級の中でもトップ10、さらに3つの地域から数人選ばれる。A1級は日本協会主催試合を含めた国内の全試合のレフェリーが可能となる。A級は日本協会主催の国際試合を含めた全試合の審判が可能になる。

(2016年2月10日 中日スポーツ10面より)

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