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中日新聞掲載の大学記事

2015.10.27

「曲がる木」で手帳カバー 名古屋木材が開発 薄くても折れない技

 高級材で知られる奈良県の吉野杉を使ったシステム手帳用の木製カバーを、建材販売の名古屋木材(名古屋市)が開発した。細かい木目は見た目に美しく、木のぬくもり感も売りだ。木を曲げることができる独自の加工技術を持つ同社と、愛知淑徳大ビジネス学部(同)の大学生との共同開発がヒントになり生まれた。(白石亘)

 木製カバーの厚さはわずか1.5ミリ。「使えば使うほど、木独特の艶も出て、味わいが増しますよ」。丹羽耕太郎社長は曲げても、割れないことを実演してアピールする。

 水蒸気で温め、圧力を加えてつくる「曲がる木」は同社が特許を持つ技術。既に靴べらを商品化したが、愛知淑徳大ビジネス学部と昨年実施した商品の共同開発で、学生から「曲がる木を使って本のしおりをつくってみては」と提案されたのが転機になった。

 靴べら(厚さ2〜4ミリ)よりも薄い0.7ミリにスライスした木を2枚貼り合わせたところ「しなるように曲げられ、薄くしても意外と折れないことに気づいた」と恒川裕司市場本部長。

 これをヒントにシステム手帳のカバーをつくることを思いつき、1年かけて製品化した。「木材を使った身近な商品を増やすのがわが社の企業理念。看板商品にしたい」と丹羽社長は意欲を語る。

 商品名は、ラテン語で木を指す「リグナム」の頭文字に英語の「アイ(私)」を組み合わせた「アイリグノス」。定価は男性向けのバイブルサイズが1万2960円、女性向けのミニ6穴サイズが1万800円(ともにリフィルなし)。

 名古屋商工会議所からアドバイスを受け、商品開発などに必要な資金をネット上で募る「クラウドファンディング」(CF)を使って販売する。CFサイト「Makuake」で11月2日から購入者を募り、売り上げが目標の50万円に届けば製造・販売する。早く申し込めば、定価の最大3割引きで購入できる。

(2015年10月27日 中日新聞朝刊9面より)

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