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中日新聞掲載の大学記事

2015.10.10

五輪4連覇へ 沙保里 極真魂注入

 レスリングで来年のリオデジャネイロ五輪への出場が決定的で、オリンピック4連覇を狙う吉田沙保里(33)=ALSOK=が9日、愛知県大府市の至学館大で、空手の流派、新極真会の世界大会日本代表選手たちと合同練習を行った。吉田はミット打ちで豪快なローキックを決め、関係者を驚かせた。

 練習開始早々、空手の選手たちがミット打ちを実演すると、座って見学していた吉田の目の色がみるみると変わっていった。希望者を募ると、真っ先に手を上げて立候補し、1分間のミット打ちに挑んだ。

■ ローキック連発に関係者仰天 「ストレス発散、面白かった」

 見よう見まねで、ローキックを連発したかと思えば、突きに、膝蹴り、後ろ回し蹴りも繰り出し、格闘魂に火が付いたように熱中した。練習後「ストレス発散になった。面白かった」と豪快に笑った。

 栄和人監督(55)と新極真会の緑健児代表(53)がともに鹿児島県の奄美大島出身で親交があり、月末に始まる空手の世界大会に向け、代表の7選手に、吉田の勝負魂を学ばせたい、と緑代表が申し入れ、今回初めて実現した。

 緑代表は、束ねた2本の木製バットをひと蹴りで折る大技を披露すると、吉田らは大喜び。そんな緑代表も、吉田のローキックには驚きの声を上げ、「蹴りにバネがある。バチって音がいい。さすがですね。空手でも真剣に練習すれば世界チャンピオンになれる」と真顔で絶賛した。

 練習後、贈られた道着に身を包んだ吉田は「格闘技の血が騒ぐ」と不敵な笑みを浮かべたが、実は「空手は痛いから嫌」というのが本音。東京五輪の追加種目に決定的な空手とは、防具なしで本気で打ち合う新極真会はルールで一線を画すが「同じ格闘技界を盛り上げて欲しい」とエールを送った。

 世界選手権後の休暇中だった9月末に、左肩痛を発症し、現在はマットでの練習を再開していないと言う。心配そうな周囲に向かい「ま、大丈夫でしょう」と、笑い飛ばした。

 (福沢和義)

(2015年10月10日 中日スポーツ10面より)

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