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中日新聞掲載の大学記事

2015.07.25

ご近所の力 防災に活用 犬山・西楽田団地 名経大調査もとに体制整備

 犬山市楽田地区の西楽田団地自治会は、充実した「近所付き合い」をベースに、自主防災会が防災体制の整備を進めている。名古屋経済大(同市)が今年実施した住民アンケートでは、回答者の6割が「災害時に近所の人を助ける」と答えており、結束の強さに自信を深めている。(田中富隆)

 西楽田団地は市最南部にあり、住民は1968〜71年ごろを中心に転入した。自治会の3月の調査では、470戸に1360人が住む。4割超に当たる560人が65歳以上で、うち60人弱が一人暮らし、70人が災害時要援護者に登録している。

 同じ楽田地区にある名古屋経済大経済学部では、「地域調査」の授業を選択した学生が昨年から西楽田団地で調査を始めた。今年5月には「災害時の助け合い」をテーマに住民アンケートを実施し、7月に発表した。

 用紙は班長を通じて全戸に配り、9割超の431戸が協力した。設問は「災害時に助けが必要な家族はいるか」「インターネットを使える家族はいるか」など7つ。このうち「家族の安全を確保した後、近所の人を助けに行くことができるか」との設問には、267人が「はい」と答えた。

 学生と設問を練った自治会長の押谷重昭さん(64)は「100人ほどと見込んでいたので驚いた。これを機に一層、地域の結び付きを深められれば」と話す。

 住民の絆の強さは、盛んな地域活動にも表れている。地元だけで8つのボランティア団体、11のサークルがあり、責任者でつくる「ふれあい談話室」を全体の窓口に親睦を深めている。

 地域調査を指導する岸野澄子教授は「市中心部から離れており、自助、共助の意識が高い地域。特定企業でなく異なる職の人たちがほぼ同じ時期に住んだことも、しがらみの少ない関係を生んでいるのでは」と分析する。

 学生たちはアンケート結果を基に作製した「要援護者・支援可能者マップ」を、自治会に渡す予定だ。自治会はマップを随時更新し、住民の承諾を得て各班長に公開することを検討している。

 自主防災会防災委員長の仁木善昭さん(73)は「防災意識を浸透させるため、行事などの機会をとらえて繰り返し広報していきたい」と話している。

(2015年7月25日 中日新聞朝刊近郊版より)
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