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中日新聞掲載の大学記事

2015.05.22

地域巡回バス 乗客アップ作戦 名学院大生 観光面で魅力発信へ

 赤字に悩む名古屋市の地域巡回バスを応援しようと、名古屋学院大(熱田区)の学生たちが乗客アップ作戦に乗り出す。「地域の足」の役割にとどまらず、観光面などでの付加価値を見つけ、魅力発信につなげていく考えだ。 (岩崎健太朗)

 地域巡回バスは、区役所や病院、駅など、日常生活に密着した施設を巡る。現在は市内で22系統が運行しているが、繁華街や集客施設に向かうわけではなく、いずれも深刻な不採算に陥っている。

 市交通局によると、バスの採算性を示す指標の一つに「営業係数」がある。100円の収入を得るのに、どれだけ経費を要するかを表す数字で、「100」を超えれば赤字。数字が大きいほど、赤字幅も大きくなる。

 市バス全体の2013年度決算をみると、計163系統の平均は「112.7」。このうち地域巡回バスは、22系統の平均が「186.7」と突出し、市の予算から毎年20億円前後、赤字分を穴埋めしている。

 ただ、「地域の足」として高齢者らの生活に欠かせず、路線の統合や変更は難しい。

 こうした状況に、若い柔軟な発想を取り入れて経営改善につなげようと、市交通局はまちづくりの包括連携協定を結ぶ名古屋学院大に依頼。現代社会学部の井沢知旦教授や、学生の協力を取り付けた。

 22系統のうち、中村、熱田、緑の3系統に絞り、学生たちが乗り降りしながらバス停周辺を調査。埋もれている史跡や名所など観光資源を発掘し、1時間程度の散策コースをつくれないか検討する。注目を集めそうなバス停のデザインなどにも知恵を絞る。

 4月にあったキックオフセレモニーには、学生ら40人が出席。経済学部2年の浅井優輝さん(20)が「若者の車離れの中で、既存の公共交通機関の魅力を掘り起こし、地域に根づくバスの在り方を考えたい」と決意表明した。

 二神望局長ら交通局幹部との懇談では、学生たちから「ラッピングバスは時間を固定した方が効果的」「バス停にスポンサーをつけて収益につなげればどうか」などの鋭い意見が相次いだ。学生たちは来年1月までに乗客アップ作戦をまとめ、交通局に提言する。

(2015年5月22日 中日新聞朝刊市民版より)
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