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中日新聞掲載の大学記事

2015.05.11

「助っ人船頭」は野球部員 長良川鵜飼きょう開幕 岐大生ら6人がデビュー

 11日に開幕する岐阜市の長良川鵜飼で、地元の大学の野球部員らが心強い「助っ人船頭」としてデビューする。3月に「鵜飼漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定されて初のシーズン。運営する市は客の増加を見込み、満足度を高めようとしている。(岐阜報道部・安部伸吾)

 青空が広がった今月初旬、岐阜大野球部の3人がバットを竹ざおに持ち替え、長良川で船を操る訓練に臨んだ。いずれも4年の三輪晃久さん(23)、中川晃宏さん(21)、林憲汰さん(22)。場所で深さや流れが違う川を相手に四苦八苦。「体を船の外に出さんと、力が伝わらんぞ」。ベテラン船頭が声を張り上げた。

 長良川鵜飼は重文指定に加え、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産の候補にもなっている。市は今季の観覧船乗客数の目標を昨年より12%多い11万5000人としている。

 鵜飼い観光に欠かせないのが観覧船。船頭には、鵜飼い舟を邪魔せず客に漁を見せる操船技術に加え、観光案内も求められる。ただ、鵜飼いの時期は5〜10月のみで、大半の船頭は他に仕事を持ち、時給1530円からのアルバイトとして雇っている。市は120人分の予算を確保しているが、船頭は例年100人程度。本来は3人で運航する船を2人で担当するなど、接客する余裕がないのが実情だった。

 「おもてなし」の力を上げるため、市が目を付けたのが地元の大学生。体力があり、礼儀も身についているだろうと、野球部員に的を絞った。市内の岐阜大と岐阜聖徳学園大の野球部に声をかけ、計6人を確保した。地元で活動するお笑い芸人7人もスカウトし、船頭の新規採用はここ10年間で最多の20人に。船にはベテラン船頭と乗り込み、安全対策も図る。

 訓練を積んだ三輪さんは「ほかのバイトの倍ぐらいは稼げるし、地元の伝統文化に携われば、就職活動のPRにもなりそう」と経験を今後の糧にもするつもりだ。市鵜飼観覧船事務所の石塚隆所長(48)は「同じ若い世代に鵜飼いの魅力を発信してほしい」と期待している。

(2015年5月11日 中日新聞朝刊30面より)
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