HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2015.04.04
愛知大学野球 春季リーグきょう開幕 白球に描く情熱
愛知大学野球春季リーグ(中日新聞社後援)は4日に名古屋市のパロマ瑞穂球場で開幕し、8週にわたる熱戦を繰り広げる。各校に、ことしも多くの部員が新たに入ってきた。ベンチ入りを狙って腕を磨く中、中部大は昨年の夏に甲子園で準優勝した三重の左腕エース今井重太朗、愛院大にも春夏連続でベスト8進出を果たした沖縄尚学の西平大樹が入部。甲子園を沸かせた注目の2新人を紹介する。
■注目の新人 全国導く投手に成長を 今井重太朗(中部大)
力んで甘く入った球は捉えられてしまう。「簡単に打たれる。打者のレベルの高さを感じる」。2月から練習試合で投げており、大学野球のレベルを痛感している。
球児なら誰もが憧れる甲子園で、一番、長い夏を過ごした。決勝までの6試合で先発。最後は敗れたが、「それで良かった。悔しさをばねに次の舞台で頑張ろう、という気持ちになったから」。
しなやかな腕の振りから速いテンポで多彩な変化球を投げ込み、次々とゴロを打たせていく投球が持ち味。特に有効なのがツーシーム。決め球のスライダーと並んで、最も信頼を寄せる球だ。
ただ、今はマウンドに立つと慣れない場所で緊張しているのか、無駄なボール球が多くなってしまう。本人もそれは分かっている。「もっと一球一球の精度を上げていかないと」。黙々とブルペンで投げ込み、感触を取り戻そうとしている。
高校時代に得難い経験を積んで分かったのは、「一体感があるチームが強い」ということ。打たせて取るタイプだけに、バックを信じて投げ抜いた。大学でも、「自分のことを知ってもらい、早くチームになじみたい。そして信頼される投手になりたい」。再び自らの手で全国大会へチームを導く覚悟だ。
■注目の新人 木製バットでも快音を 西平大樹(愛院大)
高校で握ったこともなかった木製のバットは、芯でボールを捉えるのが難しい。でも「早くバットに慣れて、先輩たちのレギュラー争いに割って入りたい」と奮闘している。
本来は外角球は右方向、内角球は左方向へ、逆らわずに強烈な打球を飛ばす。高校時代は主に「3番・左翼」を担った。公式戦初本塁打を3年夏の甲子園で放つなど、大きな舞台でも力を発揮する勝負強さも光った。
3年間で培ったのは、「どんな球がきても同じポイントで打つこと」。1年時は外角球に対して早く体が開いてしまい、逆方向に強い打球を飛ばせなかった。2年春の甲子園で打撃不振に陥ったことをきっかけに、打つタイミングを意識して修正した。
2年春から4季連続で甲子園を経験し、2年秋の明治神宮大会は終盤に8点差をひっくり返して優勝する大逆転も起こした。「大舞台で実力以上のものが出せた経験は、一番の財産になっている」
沖縄尚学の比嘉監督が愛院大出ということもあり、入学を勧められた。愛知リーグはなじみが薄いが、昨春の全日本大学選手権4強のチームへの入部に、「レベルが高いところで、自分の力がどれだけ通用するのか楽しみ」。打席に立てる日を心待ちにしている。
■実力伯仲 混戦の見込み
実力は拮抗(きっこう)している。直近の4季は異なるチームが優勝しており、飛び抜けた存在はいない。昨秋は最終週まで順位が定まらない混戦だったが、今季も同様の展開となりそうだ。
その中で、最も優勝に近いのは昨秋のリーグトップのチーム打率3割8厘をマークした中部大。最優秀選手賞の神鳥、首位打者の山崎健など実績を残した好打者が引っ張る打線に穴はない。福島、村松らの投手陣が秋より安定感を増せば、連覇の可能性が大きくなる。
昨年の全日本選手権で4強入りした愛院大が追う。豊田、高木らが足を絡めて得点圏に進み、林、宮野など勝負強い打者でかえす。右腕大蔵はある程度、計算ができる。今春、プロ出身の木村監督が就任。打撃や走塁の技術を磨いている。
昨秋、3位に躍進した日福大も優勝争いに食い込みそう。エースの左腕西川を中心とした堅守、積極的な走塁は新チームになっても健在だ。2番手阿部が抜けた穴を埋める先発陣が課題となる。
中京大は飯田、川本、鈴木孝ら2013年秋の優勝メンバーが多く残り、打線は期待できる。昨年1年間、けがで出場できなかった中軸の鈴木広、左腕岡部が復活した。投打に期待が持てる。
愛大は昨秋に右腕西川と左腕中川が先発で好投し、自信をつけた。安藤、大山ら右打者が得点源となる。
名城大は昨秋の中軸が抜けた分、打力は落ちるが野田賢ら俊足の選手が相手を揺さぶる。浅田、東、大久保和の先発三本柱も安定している。
【各チーム主将の意気込み】
■中部大 今季は大舞台つかむ 細川勝平主将
ここ2年は常に上位に食い込み、強いチームになってきたという手応えはある。昨秋は13季ぶりに優勝できたが3連盟王座決定戦で敗れて神宮行きを逃し、実力の差を見せつけられた。この悔しさをばねにして、実戦をイメージした練習に取り組んできた。この春は大舞台に立つ。
■愛院大 足を使う攻撃持ち味 豊田雄大主将
2月に就任された元プロの木村監督から細かい技術を教えてもらい、成長している。昨秋は失策からの失点が多く、勝てる試合を落とした。この冬は守備を重視して強化に取り組んだ。打線は積極的に足を使う選手が多い。犠打や盗塁で得点圏に進み、一本でかえる試合を展開したい。
■日福大 優勝争いに食い込む 永坂勇人主将
去年、初めて1年間1部で戦い、課題も見えてきた。特に秋は開幕から3カード連続で勝ち点を取ったのに、後半は大きく失速。優勝に向けての覚悟が足りなかったんだと思う。今季も日福大らしく、守りからリズムをつくって攻撃につなげる野球で、優勝争いに食い込みたい。
■愛大 打撃つなぐ意識徹底 長江大樹主将
昨年のリーグ戦を経験した投手が成長してくれた。西川、中川はともに打たせて取る投手。しっかり守って攻撃へつなぎたい。打線は長打力がないが、つなぐ意識を徹底してきた。一昨年の全日本大学選手権は先輩たちの力で行けたが、今度は自分たちの力で行きたい。
■中京大 開幕週勝ち勢い乗る 飯田達也主将
打線は昨年の経験者が多く残り、期待が持てる。投手も右腕山下、左腕山中がリーグ戦で結果を残し、落ち着いて投げられるようになった。5点以上取って3点以内に抑える展開にしたい。一昨年秋の優勝を支えたメンバーが4年生になった。開幕週に勝ち点を取って弾みをつけたい。
■名城大 堅守生かし接戦制す 野田賢志主将
本来の堅守を生かして最少失点に抑え、接戦に持ち込んで勝ちたい。昨年の3、4番が抜けた分、打力は落ちる。代わりに足の速い選手が多く、盗塁や犠打など機動力を駆使できる。昨秋、最下位を経験した分、勝利へ貪欲になっている。一戦一戦着実に勝っていきたい。
<愛知大学野球春季リーグ日程>
月日(曜)/対戦カード/球場
4月 4日(土) 中部大−名城大 愛大−中京大 (瑞穂)
4月 5日(日) 中京大−愛大 名城大−中部大 (瑞穂)
4月11日(土) 愛院大−中京大 日福大−愛大 (瑞穂)
4月12日(日) 愛大−日福大 中京大−愛院大 (瑞穂)
4月18日(土) 中部大−日福大 愛院大−名城大 (瑞穂)
4月19日(日) 名城大−愛院大 日福大−中部大 (愛院大)
4月25日(土) 中部大−中京大 愛大−名城大 (名城大)
4月26日(日) 名城大−愛大 中京大−中部大 (春日井)
5月 2日(土) 愛院大−愛大 日福大−中京大 (豊田)
5月 3日(日) 中京大−日福大 愛大−愛院大 (豊田)
5月 9日(土) 中部大−愛院大 日福大−名城大 (春日井)
5月10日(日) 名城大−日福大 愛院大−中部大 (春日井)
5月16日(土) 中部大−愛大 中京大−名城大 (瑞穂)
5月17日(日) 名城大−中京大 愛大−中部大 (瑞穂)
5月23日(土) 愛院大−日福大 (瑞穂)
5月24日(日) 日福大−愛院大 (瑞穂)
【注】開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
【2部】
<A>東海学園大、名古屋学院大、愛知産業大、愛知東邦大、名古屋大、名古屋経済大
<B>愛知工業大、名古屋商科大、星城大、名古屋産業大、至学館大、同朋大
【3部】
<A>愛知学泉大、名古屋工業大、愛知淑徳大、南山大、名古屋外国語大
<B>愛知教育大、名古屋市立大、豊橋技術科学大、大同大、愛知みずほ大
(2015年4月4日 中日新聞朝刊21面より)
■注目の新人 全国導く投手に成長を 今井重太朗(中部大)
力んで甘く入った球は捉えられてしまう。「簡単に打たれる。打者のレベルの高さを感じる」。2月から練習試合で投げており、大学野球のレベルを痛感している。
球児なら誰もが憧れる甲子園で、一番、長い夏を過ごした。決勝までの6試合で先発。最後は敗れたが、「それで良かった。悔しさをばねに次の舞台で頑張ろう、という気持ちになったから」。
しなやかな腕の振りから速いテンポで多彩な変化球を投げ込み、次々とゴロを打たせていく投球が持ち味。特に有効なのがツーシーム。決め球のスライダーと並んで、最も信頼を寄せる球だ。
ただ、今はマウンドに立つと慣れない場所で緊張しているのか、無駄なボール球が多くなってしまう。本人もそれは分かっている。「もっと一球一球の精度を上げていかないと」。黙々とブルペンで投げ込み、感触を取り戻そうとしている。
高校時代に得難い経験を積んで分かったのは、「一体感があるチームが強い」ということ。打たせて取るタイプだけに、バックを信じて投げ抜いた。大学でも、「自分のことを知ってもらい、早くチームになじみたい。そして信頼される投手になりたい」。再び自らの手で全国大会へチームを導く覚悟だ。
■注目の新人 木製バットでも快音を 西平大樹(愛院大)
高校で握ったこともなかった木製のバットは、芯でボールを捉えるのが難しい。でも「早くバットに慣れて、先輩たちのレギュラー争いに割って入りたい」と奮闘している。
本来は外角球は右方向、内角球は左方向へ、逆らわずに強烈な打球を飛ばす。高校時代は主に「3番・左翼」を担った。公式戦初本塁打を3年夏の甲子園で放つなど、大きな舞台でも力を発揮する勝負強さも光った。
3年間で培ったのは、「どんな球がきても同じポイントで打つこと」。1年時は外角球に対して早く体が開いてしまい、逆方向に強い打球を飛ばせなかった。2年春の甲子園で打撃不振に陥ったことをきっかけに、打つタイミングを意識して修正した。
2年春から4季連続で甲子園を経験し、2年秋の明治神宮大会は終盤に8点差をひっくり返して優勝する大逆転も起こした。「大舞台で実力以上のものが出せた経験は、一番の財産になっている」
沖縄尚学の比嘉監督が愛院大出ということもあり、入学を勧められた。愛知リーグはなじみが薄いが、昨春の全日本大学選手権4強のチームへの入部に、「レベルが高いところで、自分の力がどれだけ通用するのか楽しみ」。打席に立てる日を心待ちにしている。
■実力伯仲 混戦の見込み
実力は拮抗(きっこう)している。直近の4季は異なるチームが優勝しており、飛び抜けた存在はいない。昨秋は最終週まで順位が定まらない混戦だったが、今季も同様の展開となりそうだ。
その中で、最も優勝に近いのは昨秋のリーグトップのチーム打率3割8厘をマークした中部大。最優秀選手賞の神鳥、首位打者の山崎健など実績を残した好打者が引っ張る打線に穴はない。福島、村松らの投手陣が秋より安定感を増せば、連覇の可能性が大きくなる。
昨年の全日本選手権で4強入りした愛院大が追う。豊田、高木らが足を絡めて得点圏に進み、林、宮野など勝負強い打者でかえす。右腕大蔵はある程度、計算ができる。今春、プロ出身の木村監督が就任。打撃や走塁の技術を磨いている。
昨秋、3位に躍進した日福大も優勝争いに食い込みそう。エースの左腕西川を中心とした堅守、積極的な走塁は新チームになっても健在だ。2番手阿部が抜けた穴を埋める先発陣が課題となる。
中京大は飯田、川本、鈴木孝ら2013年秋の優勝メンバーが多く残り、打線は期待できる。昨年1年間、けがで出場できなかった中軸の鈴木広、左腕岡部が復活した。投打に期待が持てる。
愛大は昨秋に右腕西川と左腕中川が先発で好投し、自信をつけた。安藤、大山ら右打者が得点源となる。
名城大は昨秋の中軸が抜けた分、打力は落ちるが野田賢ら俊足の選手が相手を揺さぶる。浅田、東、大久保和の先発三本柱も安定している。
【各チーム主将の意気込み】
■中部大 今季は大舞台つかむ 細川勝平主将
ここ2年は常に上位に食い込み、強いチームになってきたという手応えはある。昨秋は13季ぶりに優勝できたが3連盟王座決定戦で敗れて神宮行きを逃し、実力の差を見せつけられた。この悔しさをばねにして、実戦をイメージした練習に取り組んできた。この春は大舞台に立つ。
■愛院大 足を使う攻撃持ち味 豊田雄大主将
2月に就任された元プロの木村監督から細かい技術を教えてもらい、成長している。昨秋は失策からの失点が多く、勝てる試合を落とした。この冬は守備を重視して強化に取り組んだ。打線は積極的に足を使う選手が多い。犠打や盗塁で得点圏に進み、一本でかえる試合を展開したい。
■日福大 優勝争いに食い込む 永坂勇人主将
去年、初めて1年間1部で戦い、課題も見えてきた。特に秋は開幕から3カード連続で勝ち点を取ったのに、後半は大きく失速。優勝に向けての覚悟が足りなかったんだと思う。今季も日福大らしく、守りからリズムをつくって攻撃につなげる野球で、優勝争いに食い込みたい。
■愛大 打撃つなぐ意識徹底 長江大樹主将
昨年のリーグ戦を経験した投手が成長してくれた。西川、中川はともに打たせて取る投手。しっかり守って攻撃へつなぎたい。打線は長打力がないが、つなぐ意識を徹底してきた。一昨年の全日本大学選手権は先輩たちの力で行けたが、今度は自分たちの力で行きたい。
■中京大 開幕週勝ち勢い乗る 飯田達也主将
打線は昨年の経験者が多く残り、期待が持てる。投手も右腕山下、左腕山中がリーグ戦で結果を残し、落ち着いて投げられるようになった。5点以上取って3点以内に抑える展開にしたい。一昨年秋の優勝を支えたメンバーが4年生になった。開幕週に勝ち点を取って弾みをつけたい。
■名城大 堅守生かし接戦制す 野田賢志主将
本来の堅守を生かして最少失点に抑え、接戦に持ち込んで勝ちたい。昨年の3、4番が抜けた分、打力は落ちる。代わりに足の速い選手が多く、盗塁や犠打など機動力を駆使できる。昨秋、最下位を経験した分、勝利へ貪欲になっている。一戦一戦着実に勝っていきたい。
<愛知大学野球春季リーグ日程>
月日(曜)/対戦カード/球場
4月 4日(土) 中部大−名城大 愛大−中京大 (瑞穂)
4月 5日(日) 中京大−愛大 名城大−中部大 (瑞穂)
4月11日(土) 愛院大−中京大 日福大−愛大 (瑞穂)
4月12日(日) 愛大−日福大 中京大−愛院大 (瑞穂)
4月18日(土) 中部大−日福大 愛院大−名城大 (瑞穂)
4月19日(日) 名城大−愛院大 日福大−中部大 (愛院大)
4月25日(土) 中部大−中京大 愛大−名城大 (名城大)
4月26日(日) 名城大−愛大 中京大−中部大 (春日井)
5月 2日(土) 愛院大−愛大 日福大−中京大 (豊田)
5月 3日(日) 中京大−日福大 愛大−愛院大 (豊田)
5月 9日(土) 中部大−愛院大 日福大−名城大 (春日井)
5月10日(日) 名城大−日福大 愛院大−中部大 (春日井)
5月16日(土) 中部大−愛大 中京大−名城大 (瑞穂)
5月17日(日) 名城大−中京大 愛大−中部大 (瑞穂)
5月23日(土) 愛院大−日福大 (瑞穂)
5月24日(日) 日福大−愛院大 (瑞穂)
【注】開始時間は2試合の日が10時(開幕日のみ10時半)、1試合の日が13時
【2部】
<A>東海学園大、名古屋学院大、愛知産業大、愛知東邦大、名古屋大、名古屋経済大
<B>愛知工業大、名古屋商科大、星城大、名古屋産業大、至学館大、同朋大
【3部】
<A>愛知学泉大、名古屋工業大、愛知淑徳大、南山大、名古屋外国語大
<B>愛知教育大、名古屋市立大、豊橋技術科学大、大同大、愛知みずほ大
(2015年4月4日 中日新聞朝刊21面より)