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中日新聞掲載の大学記事

2014.12.03

菰野・朝明川源流域ブナ林 温暖化で育ちにくく 四日市大など調査報告

 菰野町の滋賀県境付近にある朝明川源流域のブナ林を四日市大自然環境教育研究会などが調査し、温暖化によって生育が難しくなる可能性があることが分かった。研究会の保黒時男理事長は「まずはブナ林の素晴らしさを多くの人に知ってもらい、協力して保存に取り組みたい」と呼び掛けている。(田辺利奈)

 研究会と四日市大環境情報学部、「三泗自然に親しむ会」が共同で2011年から調査。延べ292人が19回、現地に入った。結果をまとめ、保黒さんと四日市大の千葉賢教授が菰野町役場を訪れ、石原正敬町長に報告した。

 研究会などによると、ブナは低温帯を代表する落葉広葉樹で、冬の積雪量が多い日本海側を中心に群落を形成。鈴鹿山系でも標高が高い地域に分布する。

 朝明川源流域では、38ヘクタールの調査区域で3300本以上のブナの木を確認した。これは鈴鹿山系で最大規模になる。最大密度は1ヘクタール当たり358本で、世界遺産の白神山地と同程度だった。

 平均推定樹齢は63年で、最大は200年だった。しかし、20年以下の若い木が育っておらず、原因は温暖化とシカによる食害が考えられる。御在所岳山頂ではこの35年間で平均気温が0.34度上がったと判明しており、今後、4.5度上昇すると、ブナはほとんど生育できなくなるという。

 対策としては、ふもとの気候で育った苗木を植樹することを挙げた。千葉教授は「ブナ林は紅葉も素晴らしく、トレッキングにもとても良い場所。観光資源として守っていきたい」と話している。

 調査はあと数年、続ける。来年度は遺伝子調査に取りかかるという。

(2014年12月3日 中日新聞朝刊北勢版より)
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