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中日新聞掲載の大学記事

2014.10.15

先輩の助言が重要 ノーベル賞 天野さん、愛工大で講義

 ノーベル物理学賞の受賞が決まった天野浩・名古屋大教授(54)が14日、愛知工業大(愛知県豊田市)で特別講義を行い、共同受賞の赤崎勇・名城大教授(85)ら先輩に恵まれた学生生活を振り返って、「先輩の助言をもらえる環境が、新しいものを生み出すために重要だ」と聴講した約400人の学生に語り掛けた。

 愛工大には、天野さんにとって赤崎さんと並ぶ“師匠”の一人である沢木宣彦教授が在籍。沢木さんは、天野さんとともに名大大学院の赤崎研究室に所属していた当時、青色発光ダイオード(LED)の研究に助言を送った。講義の冒頭、天野さんは「いろいろ教えてくれる先輩がいたので、研究に没頭できた」と語った。

 講義では、LEDが医療や食料生産の現場でも活用されつつある現状を紹介。LEDを頭蓋骨に埋め込み、その光の色で行動を制御するタンパク質を操る実験や、砂漠など厳しい環境でもLEDの光で光合成させて農作物を量産する「植物工場」構想が進む状況を、図表やグラフを交えて話した。

 講義後、天野さんは「若い人たちに伝えたいことがあるので、こういう機会はありがたい」「若者は今後、解決すべき問題が多い。われわれの世代以上に頑張ってもらいたい」と話した。講義に聴き入った愛工大応用化学科の日比野友宏さん(21)は「親しみやすく、視覚に訴える資料を多用する講義はとても分かりやすかった」と話していた。

 講義は有害物質を出さないグリーンエネルギーについて外部講師を招いて行われたもので、天野さんの登壇は受賞決定前から予定されていた。

(2014年10月15日 中日新聞朝刊33面より)

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