進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2009.01.14

太陽の表面と同じ現象 名大グループが発見

 水素分子ガスが半円状の輪(ループ)をつくる現象が、太陽の表面と同じように銀河系中心部でも頻繁に起きていることを、名古屋大大学院理学研究科の福井康雄教授らのグループが突き止めた。グループは「銀河系の仕組みや成り立ちを知る手がかりになる」としている。成果は近く日本天文学会欧文報告誌に発表される。

銀河系中心部に巨大ガスグループ

 福井教授と大学院生の藤下基線さんらのグループは、南米チリに設置した電波望遠鏡「なんてん」で、銀河系中心部から3000光年の位置に半円状の巨大なガスループを発見。高さ600光年、幅2000光年で、ループ内部にもガスが充満する構造だった。

 銀河系は、中心部から半径3000光年の領域に分子ガスが円盤状に広がり、円盤と同心円状に強い磁場が働いているが、磁場が波打ったため、ガスを持ち上げて半円状になったと推測される。

 グループはこれまでに、銀河の中心から2000光年の位置で二つのガスループを発見していたが、今回のループは幅、長さがともに2倍程度あり、銀河系の円盤状ガスの少なくとも半分をループで覆っている。グループは、ループ現象が中心部で頻繁に起きていると結論づけた。

 太陽は水素分子ガスで生成。その表面でも磁場の働きで分子ガスが炎のように立ち上がるプロミネンスと呼ばれる現象があり、銀河系で起きるループ現象も原理は同じ。福井教授らは「銀河系の円盤は太陽をとてつもなく大きくし、円盤状に平たくした構造。今後、アンドロメダなど他の銀河でもループが見つかれば、銀河の進化を解明する鍵になる」と話している。

(2009年1月14日 中日新聞朝刊総合版より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ