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中日新聞掲載の大学記事

2014.06.25

イラク人質事件 問い直す 監督の伊藤さん 母校・中部大で来月上映

 中部大(春日井市松本町)の卒業生、伊藤めぐみさん(29)が監督した映画「ファルージャ イラク戦争日本人人質事件…そして」の上映会が7月19日午後1時から、中部大で開かれる。当日、会場を訪れる伊藤さんは「人質事件で問題になった自己責任について考えるきっかけにしてほしい」と語る。(佐久間博康)

 伊藤さんは三重県桑名市出身。中部大国際関係学部を卒業後、東京大大学院総合文化研究科修士課程を経て、東京のドキュメンタリー番組制作会社に勤務している。

 映画の題材は、2004年4月にイラク戦争の舞台となったイラク中部のファルージャで人質として拘束され、日本政府から「自己責任だ」と非難された高遠菜穂子さんと今井紀明さん。映画は高く評価され、伊藤さんは5月下旬、優れた国際報道をした人をたたえる「第1回山本美香記念国際ジャーナリスト賞」を受賞した。

 伊藤さんは12年末から半年間、イラクで医療ボランティアに従事する高遠さんと、大阪で引きこもりの若者を支援している今井さんを取材。映画では、2人の当時の思いや、その後に迫った。ファルージャの医師らにも取材し、戦争状態が続くイラクの現状も伝えている。

 イラク戦争のころ、高校生だった伊藤さんは、反戦デモに参加。人質になった日本人の自己責任を問う声が湧き起こると、自分の行動に自信が持てなくなって、反戦活動をやめた。番組制作会社で働く中、もう1度、自分の関心に真剣に向き合いたいと考えるようになり、原点となっている人質事件と自己責任をテーマに映画の製作に取り組んだ。

 伊藤さんは自己責任について、「当時は(彼らの行動が)国に迷惑を掛けるという視点で語られていた」と指摘。その上で「国家の枠組みから離れると、イラクの人たちのために行動しようとした彼らのことを違う見方で捉えられるのではないか」と話す。

 上映時間は1時間35分。上映後に伊藤さんのトークがある。入場無料、要予約。申し込みは中部大入学センター広報課=フリーダイヤル(0120)873941=へ。

(2014年6月25日 中日新聞朝刊県内近郊版より)
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