HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て
2014.03.27
金沢工大1年生活は 5分の1朝食抜き 会話の重要性浮き彫り
新入学の季節を控え、金沢工業大(野々市市)の研究チームが学生の実態調査に乗り出した。「一人暮らしを始めた1年後には、5人に1人が朝食抜き。6割強が運動不足になる。家族との会話が減り、ストレスや悩みは多いけど、親しい友がいれば乗り越えられる」−。今春からキャンパスライフを始める新入生へのメッセージになりそうだ。(前口憲幸)
研究チームは体力や健康、スポーツ科学を専門にする佐藤進准教授(41)ら4人。1年生約1700人を対象とし、2013〜14年に計3回のアンケートを実施した。生活習慣をはじめ、コミュニケーションやストレス対処法などを問う計223項目を集計した。
目を引くのは朝食抜きの急増だ。入学時は七割余りが「ほぼ毎日食べる」と答えたが、1年もたたないうちに五割以下に。食べない学生は約2.5倍に膨れ上がった。
運動習慣はどうか。体育の授業以外で体を動かす機会があるかを聞いたところ、約四割が「ない」と回答。「週1日未満」と合わせると六割余りがスポーツとは縁遠かった。
1週間に家族と会話する回数も分析。約一割がゼロで、四割近くが1回のみ。「毎日」と答えた学生は約二割で、そのほとんどが自宅通学だった。
佐藤准教授は「朝食や運動の習慣がストレス対処に有効に働く。一人暮らしの学生にとって、家族とのコミュニケーションは重要な時間といえる」と指摘する。
さらに、ストレス解消には「友人との会話が効果的」と説明する。一方で、不本意感や自信喪失感など深い悩みをカバーできるのは「友人だけでは不十分」とも。「家族との会話の重要性が浮き彫りになった」と説いた。
これらのデータは、9日に奈良・天理大で開かれた日本体育測定評価学会で発表。研究者らの関心を集めた。
佐藤准教授は言う。「大学でやりたいことさえあれば、高い充実感が示される。部活動、資格取得、アルバイトなど何でもいい。たとえ、学業でつまずいたとしても、親友がいて、身近な目標があれば必ず乗り越えられる」
■生活習慣の改善 意識する契機に 厚労省が期待
厚生労働省が進める国民健康運動「健康日本21」では、食生活と運動、禁煙の3項目が最重要テーマ。2014年度はこの3項目を柱に、メタボリック症候群やがんの検診をPRし、受診率アップを目指す方針だ。
同省の担当者は「朝食抜きと運動不足は深刻」との認識を示した上で、金沢工大の実態調査データについて「具体的な数字は学生たちの心に響く。生活習慣の改善を意識する契機になる」と期待した。
(2014年3月27日 北陸中日新聞朝刊石川版より)
研究チームは体力や健康、スポーツ科学を専門にする佐藤進准教授(41)ら4人。1年生約1700人を対象とし、2013〜14年に計3回のアンケートを実施した。生活習慣をはじめ、コミュニケーションやストレス対処法などを問う計223項目を集計した。
目を引くのは朝食抜きの急増だ。入学時は七割余りが「ほぼ毎日食べる」と答えたが、1年もたたないうちに五割以下に。食べない学生は約2.5倍に膨れ上がった。
運動習慣はどうか。体育の授業以外で体を動かす機会があるかを聞いたところ、約四割が「ない」と回答。「週1日未満」と合わせると六割余りがスポーツとは縁遠かった。
1週間に家族と会話する回数も分析。約一割がゼロで、四割近くが1回のみ。「毎日」と答えた学生は約二割で、そのほとんどが自宅通学だった。
佐藤准教授は「朝食や運動の習慣がストレス対処に有効に働く。一人暮らしの学生にとって、家族とのコミュニケーションは重要な時間といえる」と指摘する。
さらに、ストレス解消には「友人との会話が効果的」と説明する。一方で、不本意感や自信喪失感など深い悩みをカバーできるのは「友人だけでは不十分」とも。「家族との会話の重要性が浮き彫りになった」と説いた。
これらのデータは、9日に奈良・天理大で開かれた日本体育測定評価学会で発表。研究者らの関心を集めた。
佐藤准教授は言う。「大学でやりたいことさえあれば、高い充実感が示される。部活動、資格取得、アルバイトなど何でもいい。たとえ、学業でつまずいたとしても、親友がいて、身近な目標があれば必ず乗り越えられる」
■生活習慣の改善 意識する契機に 厚労省が期待
厚生労働省が進める国民健康運動「健康日本21」では、食生活と運動、禁煙の3項目が最重要テーマ。2014年度はこの3項目を柱に、メタボリック症候群やがんの検診をPRし、受診率アップを目指す方針だ。
同省の担当者は「朝食抜きと運動不足は深刻」との認識を示した上で、金沢工大の実態調査データについて「具体的な数字は学生たちの心に響く。生活習慣の改善を意識する契機になる」と期待した。
(2014年3月27日 北陸中日新聞朝刊石川版より)