進学ナビ

HOME > 中日新聞掲載の大学記事 > 全て

中日新聞掲載の大学記事

2013.11.10

名工大 ランボルギーニ 最先端炭素素材で提携 量産化の研究拠点設置へ

 名古屋工業大(名古屋市昭和区)がスーパーカーで有名なイタリア・ランボルギーニ社と提携して、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製品の量産化に向けた研究拠点を12日、大学内に設置する。軽くて丈夫なCFRPの最新技術を持つラ社の開発リーダーを教授に招き、自動車、航空機産業が集積する中部地方を中心に、国内の企業と連携。自動車、航空機からゴルフクラブや釣りざおなどの身近な商品まで、幅広い分野への応用を目指す。

 名工大に設置される「日本オートモービル・ランボルギーニ先進複合材構造研究所」は、ラ社が日本に置く初の拠点。米シアトルの研究所でCFRPの技術開発に携わってきたフェラボリ・パオロ所長が名工大の教授に就き、日本企業との共同研究を進める。名工大によると、すでに埼玉県の炭素素材加工メーカーと研究を始めることが決まっているという。

 CFRPは鉄の10倍の強度を持ち、重さは4分の1。航空機ボーイング787やゴルフクラブなどに採用されている。自動車に応用されれば大幅な燃費向上が期待できるが、加工に時間がかかることが量産の課題だった。

 ラ社は1985年から炭素繊維の研究に着手し2010年にパオロ氏らがプレス加工による自動車車体の成型技術を確立。生産性は週2台から週100台へ向上、コストは20分の1に抑えられるという。

 パオロ氏は「名古屋を拠点に、CFRPの技術を活用できるあらゆる産業とのチャンネルをつくりたい」と説明。名工大の江龍修(えりゅうおさむ)副学長は「CFRPは日本の産業に革命をもたらす。国内企業との橋渡し役となり、製品開発につなげたい」と話している。

■ラ社から教授パオロ氏 車以外も想定

 フェラボリ・パオロ氏との一問一答は次の通り。

 −名工大に研究拠点を置く狙いは。

 多くの製造業が集まる名古屋で研究拠点を探していた昨年、名工大が応じてくれた。

 −どれくらい軽量化できるのか。

 重量は35%カットできた。燃費もよくなり、二酸化炭素の排出量も40%削減できる。

 −日本の自動車メーカーにも売り込むのか。

 想定しているのは車だけじゃない。カメラや携帯電話など、身近な商品にも応用できる。私の夢は、日本の人気アニメ「聖闘士星矢」(セイントセイヤ)が身に着けている鎧(よろい)をCFRPで作ることだ。

■航空機・自動車で注目

【炭素繊維強化プラスチック(CFRP)】 強度があり軽く、航空機産業のほか自動車産業でも車体素材として注目されている。ただプレス加工に6時間かかるほど硬く、車では量産化の壁に。トヨタ自動車での採用は限定生産のスポーツカー「レクサスLFA」(3750万円)にとどまる。今年夏には、トヨタや東レなど素材メーカーの共同研究拠点が名古屋大学に完成。短時間で加工できる技術の開発を目指している。

(2013年11月10日 中日新聞朝刊1面より)
  • X

戻る < 一覧に戻る > 次へ