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中日新聞掲載の大学記事

2013.10.16

各地の祭り 次代につなごう 至学館大・伊達研 保存会とネットワーク

■存続に危機感 来月シンポ

 至学館大(大府市)の伊達コミュニケーション研究所は、全国各地で催される祭りの意義を考える研究に乗り出す。保存会など祭りの担い手と幅広くネットワークをつくり、廃れつつある伝統を次世代に伝える狙い。衆院議員や犬山市長を務めた石田芳弘所長(68)は「日本のコミュニティー(共同体)の再構築につなげたい」と意気込む。 (早川昌幸)

 同研究所の関係者は、グローバリズムの伸展に伴って個々の国の文化や地域独自で育んできた伝統、風習が軽視される傾向に危機感を持つ。少子高齢化や地方の疲弊、集落や町内の崩壊で、各地の祭りはこの先の10年間で半減すると予想する専門家もいるという。

 石田所長は「祭りを維持する力は相互扶助、助け合いの共同体社会を形成する倫理観となってきた。祭りには古里への求心力が秘められ、グローバル化の落とし穴から抜け出す糸口になる」と説明する。

 研究所では既に、各地の祭り関係者と会合を持ち、意見交換している。半田市の亀崎潮干祭(かめざきしおひまつり)や犬山市の犬山祭、豊田市の挙母祭り、足助祭りなどのほか、三重県の桑名石取祭や岐阜県の大垣まつりなど、県外のメンバーも参加する。今後は祭りの実践者とのネットワークを全国に広げたい考え。

 11月17日には「日本の祭りシンポジウム」を至学館大キャンパスで開催。明治大野生の科学研究所長で人類学者の中沢新一さんの基調講演のほか、国学院大教授で民俗芸能学者の茂木栄さん、祇園祭山鉾(やまほこ)連合会理事長の吉田孝次郎さん、文化庁主任文化財調査官の菊池健策さんの3人によるパネル討議を予定している。

 石田所長は「研究者と祭りの担い手の双方向のコミュニケーションを通して、祭りの在り方を追求したい」と話す。

(2013年10月16日 中日新聞朝刊県内総合版より)
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