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中日新聞掲載の大学記事

2013.10.03

気球iPhone地球とらえた 名大、名古屋文理大、蒲郡の科学館 共同打ち上げ

■6日 蒲郡で動画公開、シンポ

 名古屋大地球水循環研究センター(名古屋市千種区)と名古屋文理大(愛知県稲沢市)、蒲郡市生命の海科学館などが共同で打ち上げた気象観測用気球が、高度25キロの成層圏に達し、気球に取り付けた市販のiPhone(アイフォーン)で地球の姿の撮影に成功した。気球は浜松沖の太平洋で回収した。研究センターなどは6日午後2時から、打ち上げから回収までの動画を同科学館で一般公開する。(坂口千夏)

 気球は直径1.8メートルのゴム製で、ヘリウムガスを入れたバルーンの内側に、もう1つのバルーンがある日本初のダブルバルーン方式を採用。気球に付けたワイヤに、衛星利用測位システム(GPS)機能付きの気温や湿度の観測機材、その下にアイフォーンをつり下げた。

 愛知県蒲郡市の竹島園地で8月29日に打ち上げ、高度25キロに達したところで外側の気球が破裂。内側のバルーンで徐々に降下し、打ち上げから約2時間半後に浜松市沖南20キロの地点に着水、それから2時間後に回収した。

 アイフォーンで撮影された画像は、知多半島や渥美半島、富士山などがくっきりと映り、漆黒の宇宙と地球の薄い大気の層や地平線もとらえていた。

 ダブルバルーン方式は、研究センターの坪木和久教授らが考案。気圧の低い成層圏で外側が破裂した後も、内側のバルーンがパラシュート代わりになる上、それを目印に発見しやすいといったメリットがある。アイフォーンには、文理大の佐原理助教らが開発した省電力で動画・静止画を撮影できるアプリを搭載した。

 機材回収を担当した同科学館の山中敦子学芸員は「GPS機能があっても海上での回収成功率は一般的に非常に低い。落下そのものが目で確認しやすいダブルバルーン方式は、汎用(はんよう)性が高い」と今回の成功を喜んだ。

 気象観測用気球の打ち上げは、旅客機の航路や電波法などの規制があり、機材が陸上に落ちる危険性を避ける必要もあるため、打ち上げ場所が限られている。機材が海に着水し、回収も比較的容易になれば、打ち上げ候補地を増やすことが可能になるという。

 6日に実施する動画の一般公開では、シンポジウムも開いて坪木教授らが成果を報告する。入場無料。映像のダイジェスト版「iPhoneで成層圏からの地球撮影に成功」はユーチューブで公開中。問い合わせは蒲郡市生命の海科学館=電0533(66)1717=へ。

(2013年10月3日 中日新聞朝刊県内版より)
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