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2013.09.25
オーロラ1週間先予測 宇宙天気予報精度向上 「太陽風」磁場南向きで電子量増
■名大チームが解明
名古屋大太陽地球環境研究所の三好由純准教授らの研究チームは、太陽から南向きの磁場を含んだ「太陽風」が放出されると、地球を回る衛星の軌道周辺の電子の量が増えることを突き止めた。電子の量が増える時期を予測することで、衛星の安全な運用に必要な「宇宙天気予報」の精度が高まり、オーロラが発生しやすい時期も1週間先まで見通せるようになるという。
研究論文は米学会誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ(電子版)に掲載される。
国際宇宙ステーションや放送衛星、「ひまわり」などの気象衛星の軌道は、高度400〜3万6000キロの「放射線帯」と呼ばれる電子が飛び交う領域にある。高いエネルギーを帯びた電子が増えると、衛星の機器やテレビ放送などに支障が出やすくなる。放射線帯の電子の量は、太陽のコロナホールなどから放出される超高速のプラズマ「太陽風」との関係が指摘されていた。
研究チームは、太陽風の中にある磁場と放射線帯で発生する電波の関係に着目。日本が1989年に打ち上げた科学観測衛星「あけぼの」が蓄積したデータを活用して、太陽風と磁場、電波、電子量の関係を分析した。
その結果、電子の量が著しく増えるのは、太陽風の中の磁場が南向きの時だと判明。電子の量が増える時期には、オーロラが発生しやすくなっていた。
また電子の量は、コーラス波動と呼ばれる電波の強度と関係あることも分かった。三好准教授は「コーラス波動によって電子のエネルギーが高まる詳しいメカニズムは、2015年度に打ち上げられる探査衛星で解明したい」と話している。
(2013年9月25日 中日新聞朝刊3面より)
名古屋大太陽地球環境研究所の三好由純准教授らの研究チームは、太陽から南向きの磁場を含んだ「太陽風」が放出されると、地球を回る衛星の軌道周辺の電子の量が増えることを突き止めた。電子の量が増える時期を予測することで、衛星の安全な運用に必要な「宇宙天気予報」の精度が高まり、オーロラが発生しやすい時期も1週間先まで見通せるようになるという。
研究論文は米学会誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ(電子版)に掲載される。
国際宇宙ステーションや放送衛星、「ひまわり」などの気象衛星の軌道は、高度400〜3万6000キロの「放射線帯」と呼ばれる電子が飛び交う領域にある。高いエネルギーを帯びた電子が増えると、衛星の機器やテレビ放送などに支障が出やすくなる。放射線帯の電子の量は、太陽のコロナホールなどから放出される超高速のプラズマ「太陽風」との関係が指摘されていた。
研究チームは、太陽風の中にある磁場と放射線帯で発生する電波の関係に着目。日本が1989年に打ち上げた科学観測衛星「あけぼの」が蓄積したデータを活用して、太陽風と磁場、電波、電子量の関係を分析した。
その結果、電子の量が著しく増えるのは、太陽風の中の磁場が南向きの時だと判明。電子の量が増える時期には、オーロラが発生しやすくなっていた。
また電子の量は、コーラス波動と呼ばれる電波の強度と関係あることも分かった。三好准教授は「コーラス波動によって電子のエネルギーが高まる詳しいメカニズムは、2015年度に打ち上げられる探査衛星で解明したい」と話している。
(2013年9月25日 中日新聞朝刊3面より)