陸上の世界選手権（８月・モスクワ）の代表選考会を兼ねた日本選手権混成競技最終日は２日、長野市営陸上競技場で行われ、男子十種競技は昨年のロンドン五輪代表で日本記録保持者の右代啓祐（スズキ浜松ＡＣ）が７８０８点で４連覇した。既に世界選手権参加標準記録Ｂ（８０００点）を突破しており、今回の優勝で２大会連続の代表入りに前進した。

　前半首位の中村明彦（スズキ浜松ＡＣ）は９種目目のやり投げで逆転を許し、７７２３点で２位だった。

　女子七種競技は桐山智衣（中京大）が５５６４点で２年ぶり２度目の優勝をした。

■「世界でリベンジ」

　４連覇を果たした右代だが、３年連続の８０００点超えはならず。「どの種目も我慢する展開になった。いろんなことがあるから十種は面白い」。この日最初の１１０メートル障害は途中でバランスを崩し、自己記録より０．７３秒遅い１５秒６６。最大の得点源のやり投げも向かい風の中で伸びず、今年から同僚となった中村を辛くもかわした。

　昨年の日本選手権での得点が世界選手権参加標準記録Ｂを超えており、夏のモスクワの舞台には立てる見通し。「まだ今季は２戦を終えたところ。世界の大会でリベンジしたい」。まだ伸びしろを残す１９６センチの巨漢が、３季連続となる主要国際大会で飛躍を期す。

■「うれしい。でも・・・」

　女子の桐山は最終種目の８００メートルを走り終えると、喜びと悔しさが交じった涙を流した。「もう一度日本一になるために頑張ったのでうれしい。でも・・・」。日本学生記録（５５７３点）には９点及ばなかった。

　連覇を目指した昨年は８００メートルでまさかの逆転負け。「単一種目に逃げようとした時期もあった」というが「きついけど達成感を味わえるのが七種の魅力」と奮起した。県岐阜商高から中京大に進み、今年が最終学年。「今しか狙えない学生記録に挑戦する。そして先輩の中田（有紀）さんのように努力を続けたい」と社会人としても混成に取り組む意欲を示した。

【男子】▽十種競技　（１）右代啓祐（スズキ浜松ＡＣ）７８０８点（１００メートル１１秒５８、走り幅跳び７メートル０３、砲丸投げ１３メートル８７、走り高跳び２メートル０３、４００メートル５０秒４３、１１０メートル障害１５秒６６、円盤投げ４３メートル４７、棒高跳び４メートル９０、やり投げ６５メートル４６、１５００メートル４分３７秒１６）（２）中村（スズキ浜松ＡＣ）７７２３点（３）音部（富士通）７３８１点
【女子】▽七種競技　（１）桐山智衣（中京大）５５６４点（１００メートル障害１３秒９０、走り高跳び１メートル５７、砲丸投げ１１メートル５８、２００メートル２４秒４７＝追い風参考、走り幅跳び６メートル０７、やり投げ４１メートル５３、８００メートル２分２６秒８７）（２）竹原（長谷川体育施設）５４１７点（３）中田（日本保育サービス）５３５６点

（2013年6月3日　中日新聞朝刊22面より）