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2013.03.28
腎炎 脂肪幹細胞が抑える 「骨髄」より効果大 名大グループ解明
脂肪から採取した幹細胞が、腎臓の難病・急速進行性腎炎の治療に効果があることを、名古屋大大学院医学系研究科の丸山彰一准教授(腎臓内科学)や古橋和拡客員研究員らのグループがラットの実験で突き止め、米腎臓病学会誌に発表した。
急速進行性腎炎は70歳以上に多く、年間1800人ほどが発症。主な治療に免疫抑制剤が用いられるが、感染症や副作用を起こすことも多く、患者の30%に人工透析が必要になる。4年後の生存率は25%と低い。
研究グループは、免疫反応を調整する機能がある幹細胞に着目。ラットの脂肪から採取した幹細胞を培養して増やし、同じラットを急速進行性腎炎の状態にした後に投与。1週間後、腎炎を悪化させている炎症細胞と修復に働く細胞の増減を調べた。すると、炎症細胞は何もしていない場合に比べて2割ほど減少した一方、修復細胞は2倍に増え、生存率が改善した。
難病の貧血など免疫抑制治療には骨髄から採取した幹細胞が一般的に使われるが、今回の実験で骨髄の幹細胞を急速進行性腎炎のラットに投与したところ、脂肪の幹細胞を使った方が腎機能の回復が高いことも分かった。脂肪は幹細胞の採取や培養がしやすく、体への負担も少ない利点もある。
研究グループは今後、1年以内の臨床研究への移行を目指す。丸山准教授は「多くの治療が困難な免疫性疾患に利用できる可能性がある。安全性を確認し、多くの疾患に応用したい」と話している。
(2013年3月28日 中日新聞朝刊社会版より)
急速進行性腎炎は70歳以上に多く、年間1800人ほどが発症。主な治療に免疫抑制剤が用いられるが、感染症や副作用を起こすことも多く、患者の30%に人工透析が必要になる。4年後の生存率は25%と低い。
研究グループは、免疫反応を調整する機能がある幹細胞に着目。ラットの脂肪から採取した幹細胞を培養して増やし、同じラットを急速進行性腎炎の状態にした後に投与。1週間後、腎炎を悪化させている炎症細胞と修復に働く細胞の増減を調べた。すると、炎症細胞は何もしていない場合に比べて2割ほど減少した一方、修復細胞は2倍に増え、生存率が改善した。
難病の貧血など免疫抑制治療には骨髄から採取した幹細胞が一般的に使われるが、今回の実験で骨髄の幹細胞を急速進行性腎炎のラットに投与したところ、脂肪の幹細胞を使った方が腎機能の回復が高いことも分かった。脂肪は幹細胞の採取や培養がしやすく、体への負担も少ない利点もある。
研究グループは今後、1年以内の臨床研究への移行を目指す。丸山准教授は「多くの治療が困難な免疫性疾患に利用できる可能性がある。安全性を確認し、多くの疾患に応用したい」と話している。
(2013年3月28日 中日新聞朝刊社会版より)